研究成果

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バイオサイエンス研究科ストレス微生物科学研究室の高木博史教授、那須野亮助教らが公益社団法人日本生化学会の2017年度「JB論文賞」を受賞

バイオサイエンス研究科ストレス微生物科学研究室の高木博史教授、那須野亮助教らが公益社団法人日本生化学会の2017年度「JB論文賞」を受賞することが決定しました(平成29年7月28日)。本賞は、日本生化学会の英文誌「The Journal of Biochemistry(JB)」に掲載された優れた論文の著者を顕彰するためのものです。本賞では、受賞年の前年中にJBに掲載された10篇以内の論文を選出し、各々の著者に賞状と副賞を贈呈しています。 

http://www.jbsoc.or.jp/notice/2017-07-28.html

【受賞コメント】 

<那須野助教>N-アセチルトランスフェラーゼMpr1は酵母のアルギニン合成に関与する酵素で、当研究室で見出し、その生理機能や立体構造を明らかにしてきました。アルギニンは酵母のストレス耐性や発酵力に関与する重要なアミノ酸です。今回、Mpr1を立体構造に基づく分子設計により安定化し、酵母のアルギニン合成を促進することに成功しました。これは、Mpr1の原子レベルでの知見を理論的に応用に結び付ける端緒となる成果です。今後、産業上有益な酵母の育種などにも貢献したいと考えています。 

<高木教授>Mpr1との出会いはまさに偶然であり、その酵素活性を検出した時の興奮は今も鮮明に覚えています。最近では、プロリンからアルギニン、NOと新たな代謝系への関与と生理機能が明らかになるとともに、当時学生だった那須野助教の頑張りや箱嶋研究室との共同研究により、困難を極めた立体構造も決定できました。Mpr1は研究に大切な「オリジナリティー」と「セレンディピティ」を兼ね備えた酵素であり、今後も基礎科学・産業利用の両面での貢献を目指したいと考えています。実際の研究に取り組んだ当時の学生、平瀬冴華さん(現・パレクセル・インターナショナル株式会社)、乘船沙紀さん(現・天野エンザイム株式会社)、議論やデータ解釈の点でサポートいただいた渡辺大輔助教にこの場を借りて深く感謝いたします。 

【受賞した論文の内容】 

「酵母の新規アルギニン合成系に関与するN-アセチルトランスフェラーゼMpr1の立体構造に基づいた分子設計」
    酵母に見出した抗酸化酵素「N-アセチルトランスフェラーゼMpr1」は、新規のアルギニン合成経路に関与することが示唆されている。今回、Mpr1の立体構造情報に基づき、Mpr1の安定性に重要なα-へリックスを安定化させるためのアミノ酸置換を分子設計し、分子内相互作用を新たに導入した。その結果、温度安定性が著しく向上したMpr1変異体を取得することに成功した(Asn203Lys-Mpr1, Asn203Arg-Mpr1など)。また、Mpr1変異体を発現する酵母では、Mpr1依存的なArg合成が亢進された。 

【関連する論文】 

Ryo Nasuno, Saeka Hirase, Saki Norifune, Daisuke Watanabe and Hiroshi Takagi
Structure-based molecular design for thermostabilization of N-acetyltransferase Mpr1 involved in a novel pathway of L-arginine synthesis in yeast
Journal of Biochemistry, 159(2), 271-277 (2016).

(2017年08月04日掲載)

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