NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究成果の紹介

バイオサイエンス研究科分子情報薬理学研究室の堀部 修平さん(博士後期課程2年)が「第39回日本分子生物学会年会」において優秀ポスター賞を受賞

バイオサイエンス研究科分子情報薬理学研究室の堀部 修平さん(博士後期課程2年)が「第39回日本分子生物学会年会」において優秀ポスター賞を受賞しました。 

受賞のコメント

この度,第39回日本分子生物学会年会において優秀ポスター賞を受賞することができ大変光栄に思います。この賞を受賞できましたのはご指導して頂いた伊東広教授,小林哲夫助教をはじめ,研究室の皆様のおかげです。心より感謝申し上げます。この賞の名に恥じぬように、今後も精進し、研究を発展させていきたいと思います。ありがとうございました。 

受賞内容

Gタンパク質制御因子Ric-8Aによる中心小体複製制御

   Ric-8は三量体Gタンパク質αサブユニット(Ga)のGDP-GTP交換因子(GEF)としてGaを活性化することや、シャペロン活性、ユビキチン化阻害活性によりGaの安定化に寄与することが報告されている。哺乳類にはRic-8AとRic-8Bの二つのホモログが存在し異なるGaを標的とするが、哺乳動物細胞においてRic-8がどのような生命現象に関与するか不明の部分が多く残っている。中心小体は、微小管形成中心(Microtubule Organizing Center: MTOC)として働く中心体の中核を担う構造体であり、細胞周期M期において紡錘体形成を担う。中心小体の複製は細胞周期と協調して進行し、S期に開始しG2-M期にかけて完了することが知られている。これまでに三量体Gタンパク質が中心小体複製過程に関与する報告はないが、本研究においてGタンパク質調節因子Ric-8Aが三量体Gタンパク質を介して中心小体複製過程に関与する可能性を見出した。
    私達はsiRNAを用いてRic-8Aを発現抑制した数種類のヒト培養細胞において、中心小体局在タンパク質のドット状のシグナルが異常増加していることを見出した。次に、Ric-8Aの下流シグナル経路を各種阻害剤等を用いて検証した結果、“Ric-8A発現抑制→Gαi活性低下→cAMP量上昇→PKA(Protein Kinase A)活性上昇”というシグナル経路により中心小体数の異常増加が引き起こされる可能性が示唆された。更に、Ric-8A発現抑制により細胞分裂期に異常な紡錘体形成が見られたことから、異常増加した中心小体様の構造体はMTOC活性を持つことが示唆された。以上の結果から、Ric-8AによるGαiシグナルの調節が中心小体複製過程を制御し、適切な細胞分裂を保証する可能性が示唆された。 

第39回日本分子生物学会年会
http://www.aeplan.co.jp/mbsj2016/

研究室紹介ページ: http://bsw3.naist.jp/courses/courses202.html
研究室ホームページ:http://bsw3.naist.jp/itoh/

(2016年12月21日掲載)

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