神経システム生物学研究室

研究室について

 私たちの脳神経系は精巧な神経回路網を形づくっています。そして神経細胞同士がネットワーク上でコミュニケーションをとることにより、ヒトは感じたり、考えたり、うまく運動したりできるわけです。
脳内における神経回路網形成は(a) 神経細胞の移動、 (b) 神経細胞の分化および極性形成、(c) 神経軸索のガイダンス、(d) シナプスの形成およびその調節といった複数のステップから構成されています。私たちの研究グループはこのような神経ネットワーク形成のしくみを本研究室で発見されたShootinやSingarのはたらきを解析することで調べています。
私たちは、これらの研究が神経細胞の形づくりの仕組みの深い理解につながり、現代の難病である脊髄損傷や脳外傷、あるいはアルツハイマー病や運動ニューロン疾患などの治療法の開発につながることを期待しています。

Shootin1を一分子計測するとまるで流れ星のように細胞内を動く様子が見えます。

NEWS & TOPICS

         
  • 2024.11嶺岸助教の神経細胞移動の力を介した仕組みに関する論文がEMBO Journalにアクセプトされました。
  • 2024.9稲垣教授が、25th Meeting of the International Society for Developmental Neuroscienceで招待講演を行いました。
  • 2024.8博士前期課程2年の植田瑞生君,岡田真治君,須田恭平君,村上彰典君,山本陸君,和所祐貴君が"スーパーサイエンスハイスクール(SSH)"と"奈良県内の女子高生対象NAISTラボステイ2024"で西大和学園の学生さんを受入れました。受け入れた感想:実験や解析に熱心に取り組んでくれたので教える側も充実した3日間でした。
  • 2024.7博士後期課程2年の渡邊拓音君とChen Hongjiaさんが第76回日本生物学会大会(つくば市)で研究成果を発表しました。参加した感想:多方面の参加者と深い議論や意見交換をすることができて良い刺激を受けました。
  • 2024.5稲垣教授がNAIST-チュラロンコン大学-テマセック生命科学研究所合同シンポジウムで講演をしました。
  • 2024.2博士後期課程3年矢神希生さんのアクチン波を介した細胞形態形成の仕組みに関する論文がプレプリント公開されました。
  • 2024.2博士後期課程3年Qiu Zhenさんのネトリンを介した軸索ガイダンスの仕組みに関する論文がFrontiers in Molecular Neuroscience誌にOnline掲載されました。(解説)
  • 2024.1稲垣教授と作村教授(データ駆動型生物学)、嶺岸助教が、JoVE Webinar "細胞移動と軸索ガイダンスのメカニズム解析のためのイメージング技術"で、移動細胞や神経軸索における力の計測法やその分子機構の解析法に関する講演を行いました。(こちらから視聴できます。)
  • 2023.12博士後期課程3年の酒巻裕介君がボストンで開催された米国細胞生物学会(ASCB Meeting2023)に参加し、研究成果を発表しました。
  • 2023.12博士前期課程2年の柿原秀斗君と栗原幸代さんが第46回日本分子生物学会年会(神戸市)で研究成果を発表しました。感想:「自分たちの研究について様々な分野の方たちとディスカッションすることができてとても有意義な時間になりました。今回学んだことを今後の研究活動に生かしていきたいです。」
  • 2023.8博士前期課程2年の柿原秀斗君,栗原幸代さん,水野雄太君がスーパーサイエンスハイスクール(SSH)で西大和学園の学生さんを受入れました。神経細胞特有のたんぱく質の局在を調べました。活発な質問も多く非常に熱心に実験に取り組んで楽しんでいる様子でした。
  • 2023.7稲垣教授と嶺岸助教が、JoVE Webinar "Imaging techniques to analyze molecular mechanics for cell migration and axon guidance"で、移動細胞や神経軸索における力の計測法やその分子機構の解析法に関する講演を行いました。(こちらから視聴できます。)
  • 2023.6奈良で日本細胞生物学会が開催されました。稲垣教授と嶺岸助教がシンポジウムで、馬場助教、酒巻君(D3)、上君(D2)がポスターでそれぞれ研究成果を発表しました。又、D1の渡邊君、M2の柿原君、川本君、栗原さん、水野君、森﨑さんが会場の運営に参加しました。若手メンバーの感想です「学会は堅苦しいイメージがあったけど皆フランクで楽しんでいたので良い刺激になりました。」
  • 2023.3Ria Kastian博士研究員のシューティンの脱リン酸化を介した軸索ガイダンスに関する論文がJournal of Biological Chemistry誌にOnline掲載されました。
  • 2023.3稲垣教授が、International Symposium on Mechanobiology for Human Healthで招待講演を行いました。
  • 2022.10稲垣教授がNAISTオンラインセミナーで「NAIST発シューティンの研究から見えて来た神経ネットワーク形成の仕組み」という演題で研究室の研究内容を講演しました。(こちらから視聴できます。)
  • 2022.6嶺岸卓德助教の神経シナプスの力学的な調節機構に関する総説がSeminars in Cell and Developmental Biology誌にOnline掲載されました。
  • 2021.10稲垣教授が、OIST Axonal Degeneration and Regeneration Workshopで招待講演を行いました。
  • 2021.10嶺岸卓德助教の成長円錐におけるアクチン動態と力の解析に関する論文がJ. Vis. Exp.誌(Video)に掲載されました。
  • 2021.10Ria Kastian博士研究員の樹状突起におけるアクチン動態と力の解析に関する論文がStar Protocol誌に掲載されました。
  • 2021.8博士前期課程2年の門林弘樹君,上宗馬君,武内良介君,寺岸真由さん,福士亜美さんがスーパーサイエンスハイスクール(SSH)で西大和学園と奈良高校の学生さんを受入れました。参加者は3種類の細胞を用いて免疫染色を行い、細胞内のタンパク質の局在を観察しました。研究職により興味を持ったようです。
  • 2021.8阿部幸喜博士研究員(現ノースウェスタン大学)の軸索伸長のメカノセンシングの仕組みに関する論文がBiophysical Journal誌に掲載されました。
  • 2021.7Ria Kastian博士研究員が日本神経科学大会でシナプス可塑性のShootinを介した新しいメカニズム に関する研究発表を行いました。
  • 2021.7矢神希生君(D1)が第73回日本細胞生物学会のワークショップでアクチン波に関する研究発表を行いました。
  • 2021.6嶺岸卓德助教が、大阪難病研究財団の医学研究助成に採択されました。
  • 2021.5Ria Kastian研究員のシナプス可塑性のShootinを介した新しいメカニズムに関する研究成果Cell Peports誌に掲載されました。
  • 2020.11Ria Kastian研究員が、 Philippine Society for Developmental Biology (PSDB) National Annual Conventionで招待講演を行いました。
  • 2020.9研究室で推進をしているAMED-CRESTメカノバイオロジーの研究内容が、広報誌「SENTAN」で紹介されました。
  • 2020.9嶺岸卓德助教の神経細胞移動のメカノバイオロジーに関する総説がFrontiers Cell and Developmental Biology誌に掲載されました。
  • 2020.8博士前期課程2年の木内健太郎君,長谷部帆南さん,矢神希生君がスーパーサイエンスハイスクール(SSH)で西大和学園の学生さんを受入れました。参加者は細胞の観察と免疫染色を行い細胞移動の仕組みを学びました。生物学により一層興味を持ったようでした。
  • 2020.7馬場健太郎助教が、大阪難病研究財団の医学研究助成に採択されました。
  • 2020.5研究室の顕微鏡を紹介するラボツアーを開催しました。こちらから見ることができます。マウスを使って360°視野を変えることができます。
  • 2020.4嶺岸卓德助教の軸索ガイダンスと細胞移動のメカノバイオロジーに関する総説が、実験医学増刊「疾患に挑むメカノバイオロジー」に掲載されました。
  • 2020.2稲垣教授が、ドイツの国際会議Actin assembly for Intracellular Functionsで招待講演を行いました。私たちのメカノバイオロジーを視点としたライブイメージングデータに大きな反響がありました。(こちらから視聴できます。)
  • 2020.2稲垣教授が、AMEDメカノバイオロジー国際シンポジウムで講演しました。
  • 2019.12博士前期課程2年の山田紗希さんが第42回日本分子生物学会年会(福岡市)で研究成果を発表しました。感想:「自分の研究について様々な分野の方に知ってもらいディスカッションできたことは、とても貴重な経験でした。その後の研究にも活かされたと思います。学会に参加する機会を頂けたことにとても感謝しています。」
  • 2019.8浦崎明宏助教(現国立循環器病センタ―研究所・室長)の新たなShootinとShootinによるゼブラフィッシュ集団性細胞移動に関する論文がScientific Reports誌に掲載されました。
  • 2019.7嶺岸卓德博士研究員が、大阪難病研究財団の医学研究助成に採択されました。
  • 2019.4Shootin1に関する総説が、生化学誌に掲載されました。
  • 2019.4稲垣教授が、EMBO Workshop Neuronal Cytoskeletonで招待講演を行いました。世界各国から研究者が参加する学会で、私たちのメカノバイオロジーを用いた軸索ガイダンスや神経細胞移動に関する研究に対して大きな反響がありました。
  • 2019.2黄利国研究員のRab33による軸索伸長に関する研究成果がScientific Reports誌に掲載されました。
  • 2018.10嶺岸卓德研究員のShootin1bによる力の発生と神経細胞の移動に関する研究成果Cell Reports誌に掲載されました。
  • 2018.8馬場健太郎研究員のShootin1aによる軸索ガイダンス(走化性)に関する研究成果eLife誌に掲載されました。
  • 2018.7馬場健太郎研究員が、大阪難病研究財団の医学研究助成に採択されました。
  • 2018.4研究室のホームページを更新しました。(メンバー情報、Q & A集を追加)
  • 2018.2阿部幸喜さんの軸索ガイダンス(走触性)の新たなメカニズムと疾患との関連に関する研究成果PNAS誌に掲載され、産経新聞に記事として取り上げられました。
  • 2017.12博士前期課程2年の苅田憲人君,酒井瑞貴さん,藤原小織さん,森下誠也君が、生命科学系合同年次大会(神戸)で研究成果を発表しました。M2メンバーの感想です:「異分野の人たちに自分達の研究内容をいかにわかりやすく説明するか苦労したことが今後の仕事に活かせる貴重な経験になったと思いますし、学内では味わうことのできない多くの刺激を受けることができました。」
  • 2017.8博士前期課程2年の苅田憲人君,酒井瑞貴さん,藤原小織さん,森下誠也君がスーパーサイエンスハイスクール(SSH)で西大和学園と奈良高校の学生さんを受入れました。参加者はDNAやタンパク質を使って細胞移動の仕組みを観察し、大変意欲的に実験に取り組んでいました。
  • 2017.4鳥山道則助教が平成29年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「若手科学者賞」を受賞しました。
  • 2017.3アクチン波に関する総説が、Trends in Cell Biology誌に掲載されました。
  • 2016.12軸索のアクチン波に関する、稲垣教授のインタビューがPNAS誌に掲載されました。
  • 2016.10馬場健太郎君(D3)が、第3回「動的秩序と機能」若手研究会で優秀ポスター賞を受賞しました。
  • 2016.7勝野弘子博士研究員が、大阪難病研究財団の医学研究助成に採択されました。
  • 2016.6鳥山道則助教が、第68回日本細胞生物学会で若手優秀賞を受賞しました。
  • 2016.5東口泰奈さんの新たなShootin(Shootin1b)に関する研究成果がCell and Tissue Research誌に掲載されました
  • 2016.5鳥山道則助教のテキサス大学での研究成果がNature Genetics誌に掲載されました
  • 2016.3鳥山助教が、公益財団法人ブレインサイエンス振興財団第30回研究助成に採択されました。
  • 2016.3勝野弘子博士研究員が、日本解剖学会総会・全国学術集会で招待講演を行いました。
  • 2015.12高野拓郎君(D2)、伊波幸紀君(M2)、上杉康之君(M2)、魚住海斗君(M2)、中公甫君(M1)が、NAISTサイエンス塾を開催しました。参加者の皆さんは、紅茶の葉を使った実験をし、食品などの酸性・アルカリ性の性質を利用した反応で紅茶の色がいろいろな色に変化する不思議を体験し、とても楽しんでいる様子でした。
  • 2015.8久保祐亮研究員のCortactinによる軸索伸長に関する研究成果Journal of Cell Biology誌に掲載され、朝日新聞、奈良新聞、日経産業新聞、日刊工業新聞、化学工業日報等に記事として取り上げられました。
  • 2015.7勝野弘子研究員の新たな軸索分子輸送機構アクチン波に関する研究成果Cell Reports誌のIssue Highlightsとして掲載され、朝日新聞、奈良新聞、日経産業新聞、日刊工業新聞等に記事として取り上げられました。
  • 2014.12研究室名が「神経システム生物学研究室(Laboratory of Systems Neurobiology and Medicine)」に変わりました。
  • 2013.11岡本明理さん(M1)が本学のキャッチコピー公募で優秀賞を受賞しました。
  • 2013.11東口泰奈さん(D1)、吉田亙さん(D1)、髙野拓郎さん(M2)、渡瀬恵美子さん(M2)、岡本明理さん(M1)、嶺岸卓徳さん(M1)らが、高山サイエンスフェスティバルで親子科学教室 を開催しました。参加者の皆さんは、牛乳と酸を使った実験でタンパク質の性質を知り、出来たチーズを食べることで身近に存在する科学をとても楽しんでいらっしゃる様子でした。
  • 2013.7-8稲垣准教授がOIST Developmental Neurobiology CourseSummer School 2013 "Bioorganization"でレクチャーを行いました。神経極性形成と軸索ガイダンスの仕組みに関して、海外及び国内の若手研究者と熱心な議論が交わされました。
  • 2013.2鳥山道則研究員(現テキサス大)らのShootin1による力の発生と軸索伸長に関する研究成果Current Biology誌に掲載され、日刊工業新聞に記事として取り上げられました。
  • 2012.11研究室の研究内容が、Nature Japanの特集記事として紹介されました。
  • 2012.9稲垣准教授が、ドイツ生化学分子生物学会(GBM)で、Keynoteレクチャーを行いました。力の測定や数理科学を組み合わせた私たちの研究に対して、大きな反響がありました。
  • 2012.9中澤瞳さん(D3)のRab33による小胞輸送による細胞膜拡大と軸索伸長に関する研究成果Journal of Neuroscience誌に掲載され、実験データが表紙に選ばれました。又、産経新聞、毎日新聞、奈良新聞、日刊工業新聞等に記事として取り上げられました。
  • 2012.9勝野弘子さん(D2)、小笠原仁美さん(M2)、東口泰奈さん(M2)、高野拓郎君(M1)、渡瀬恵美子さん(M1)らが、NAISTサイエンス塾を開催しました。参加者の皆さんは、紫キャベツを使った実験をし、酸性・アルカリ性の性質を利用した反応で、紫キャベツの色素やその他の食品がいろいろな色に変化する不思議を体験し、とても楽しんでいる様子でした。
  • 2011.11稲垣准教授が、公開講座2011で「神経を伸ばす分子のしくみ」を講演しました。会場からは熱心な質問もあり、受講者の方々は神経の不思議さとおもしろさを感じていらっしゃる様子でした。
  • 2011.11勝野弘子さん(D1)、小笠原仁美さん(M1)らが、高山サイエンスプラザにて、親子科学教室を開催しました。参加者の皆さんは、バナナからDNAを取り出す実験をして、親子でとても楽しく科学体験をしている様子でした。
  • 2011.9前野貴則君(D2)らが、NAISTサイエンス塾を開催しました。参加者の皆さんは、親子でとても楽しんでいる様子でした。
  • 2011.9研究室(勝野弘子さん、D1)のデータが、創立20周年記念切手シートの図柄に選ばれました。
  • 2011.7稲垣准教授が 20th Annual Computational Neuroscience Meeting(スウェーデン) で招待講演を行いました。
  • 2011.5稲垣准教授が EMBO conference SPATIAL 2011(スイス) で招待講演を行いました。フロアから数多くの質問を受け、大きな反響がありました。
  • 2011.3勝野弘子さん(M2)がNAIST最優秀学生賞・最優秀学生賞を受賞しました。
  • 2010.12稲垣准教授がBMB2010でワークショップ「細胞が感じる力と生み出す力」を企画し、会場では数多くの活発な議論がなされました。
  • 2010.7鳥山道則研究員らの神経極性形成(対称性の破れ)の分子メカニズムに関する研究成果がMolecular Systems Biology誌のFeatured articleとして掲載され、朝日新聞、科学新聞、日経産業新聞、読売新聞、日刊工業新聞、産経新聞、毎日新聞等に記事として取り上げられました。(LINK) (解説)
  • 2010.3久保祐亮くん(M2)が矢野賞を受賞しました。

連絡先

〒630-0192
奈良県生駒市高山町 8916-5

奈良先端科学技術大学院大学
先端科学技術研究科
バイオサイエンス領域
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ninagaki(a)bs.naist.jp (稲垣)まで

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