NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究室・教員

卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -

村田 純 さん

  • Biological Sciences, Brock University, Ontario, Canada
  • 2001年度(博士) 植物遺伝子機能学
村田 純さんの近況写真

私はニチニチソウという亜熱帯原産の薬用植物の二次代謝経路に関する研究に携わっています。この植物が生産するインドールアルカロイドと呼ばれる二次代謝化合物のいくつかには抗ガン活性などの薬効が認められていて、実際に市場に出回っています。従って‘有用化合物の増産・安定供給'は大きな課題で、多くの研究者が応用研究を行っています。私個人の興味はこの植物がどうやって複雑な構造をしたアルカロイドを合成するのかにあり、酵素タンパク質の精製・遺伝子クローニング、また細胞種特異的な二次代謝システムの発現解析を行っています。

現在の研究室はボスのVincenzo De Lucaと、私を入れて3人のポスドク、3人の大学院生と1人のテクニシャン、計8人の、中規模のラボです。ボスは大変話し上手で、いったん喋り始めたら1時間なんてすぐに経ってしまう人です。なので、彼の部屋に行くときはいつも相当の覚悟や準備が必要です。実験途中にいくなんてもってのほかです。ですが、彼の放任主義のおかげで私はかなり自由にやらせてもらっています。シロイヌナズナの転写制御因子の解析をしていた学生の時と研究分野が多少変わったため、慣れるまでしばらくかかりましたが、新鮮な気持ちで研究を始めることが出来ました。研究室の他のメンバーもいい人達で、毎日楽しく過ごしています。

思えば、そもそも実験生物学の世界に入ったきっかけは何だったのか、今ではすっかり忘れてしまいました。ただ言えるのは、どんなに小さくてもポジティブな結果が得られれば嬉しかったし、その積み重ねが次につながると信じてきたということです。奈良先端大では多くの先生方や先輩・友人にお世話になり、たくさんのことを学びました。とても気さくな堀田康雄先生(現・名誉教授)に幾度となく励まされましたし、平塚和之先生(現・横浜国大教授)の体力(!)や橋本隆先生の忍耐力(!)には本当に頭が下がる思いでした。時折寮のラウンジで真夜中にサッカー観戦したこともいい思い出です。奈良先端大で過ごした6年間は私の貴重な財産です。

(写真:後列左から2人目が筆者)

【2006年01月掲載】

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