NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究成果の紹介

バイオサイエンス研究科ストレス微生物科学研究室の関口春菜さん(博士前期課程2年)が日本農芸化学会賛助企業特別賞を受賞

 バイオサイエンス研究科ストレス微生物科学研究室の関口春菜さん(博士前期課程2年)が、2013年12月7日に神戸大学で開催された日本農芸化学会関西支部 第482回講演会において賛助企業特別賞を受賞しました。

受賞コメント

 この度、日本農芸化学会関西支部 第482回講演会において支部賛助企業特別賞を受賞することができ、大変光栄に思います。この賞を頂けたのも、高木博史教授をはじめ、研究室の皆様のご助言、ご協力のおかげであり、この場を借りて深く御礼申し上げます。
今回の受賞を励みとし、今後の更なる発展を目指して精進していきたいと思います。

受賞時の発表内容

 酵母 Saccharomyces cerevisiaeは、パンや酒類、バイオエタノール生産に欠かせない有用な微生物です。しかし長期間のまたは複合的なストレスによって、活性酸素種(ROS)が発生し、生育阻害や細胞死が引き起こされ、酵母の有用な機能を低下させる原因となります。したがって、これらの機能を維持するために、酵母のストレス耐性の向上が課題です。当研究室で酵母より見出した、新規N-アセチルトランスフェラーゼMpr1は、酵母に酸化ストレス耐性を付与することが明らかとなっています。これまでに、遺伝学的な解析からMpr1がプロリン(Pro)とアルギニン(Arg)の代謝を連結し、酸化ストレス条件下におけるMpr1依存的なArg合成が酸化ストレス耐性に寄与することが示唆されています。現在我々は、酵母が酸化ストレスに曝されると、Mpr1によってPro代謝からのArg合成が亢進し、Arg依存的に一酸化窒素が生成され下流のシグナル伝達系を活性化し、酸化ストレス耐性の獲得に至るというモデルを考えています。しかし、Mpr1がin vivoでアルギニン合成に関与する時にどのような反応を触媒しているかは証明されていません。本研究では、Mpr1依存的なストレス耐性機構の鍵段階である、Mpr1依存的なアルギニン合成に関わる反応とその制御機構を明らかにすることを目的とし、今回は、Arg合成系遺伝子の変異株を用いてMpr1とArg代謝との関連を調べたので報告しました。

(2014年01月15日掲載)

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