新学術領域研「植物多能性幹細胞」

menu

代表ご挨拶

新学術領域「植物多能性幹細胞」は、植物がもつ永続的で旺盛な生命力に幹細胞の視点から迫ろうとする研究プロジェクトです。植物幹細胞がもつ増殖性や多能性を理解することにより、植物体内で多能性を生み、それを維持し続けるメカニズムを解明します。細胞レベルの解析が大切なのは勿論ですが、植物幹細胞の特性を決める上では、組織レベルの制御や、細胞間コミュニケーションを介した位置情報も非常に重要です。また、幹細胞を生み出すリプログラミングやその後の分化過程では、クロマチンレベルの制御が不可欠です。本領域ではこのような様々な課題に対して多面的にアプローチし、植物幹細胞が動物の幹細胞と似ている点、あるいは異なる点を炙り出すことにより、持続的な器官形成を可能にする植物の生命力の源を理解したいと考えています。

本領域は2019年に中間評価を受けて、A+の評価を頂きました。領域研究の進展の他、若手育成、国際連携、アウトリーチ活動などが評価されました。また、特に高い評価を受けたのは、動物の研究者との交流です。動物分野の研究者にパートナー研究者として参加して頂き、個々の課題に関して様々な意見交換を行ってきました。また、毎年開催する幹細胞研究会では、動植物の幹細胞のあり方について議論を重ねてきました。こうした活動を通して、動植物の研究者が共通の言語で話せる土壌ができ上がってきており、今後はさらにステップアップして、幹細胞生物学に新たな風を吹き込みたいと考えています。

本領域を発展させるには、国内外の研究者の皆様のご協力が不可欠です。植物科学分野ならびに生物学分野の進展に大きな貢献ができるよう、参画研究者一同、全力で取り組んで参りますので、皆様のご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。

奈良先端科学技術大学院大学
先端科学技術研究科 教授
領域代表
梅田 正明