成果報告

論文No.097

シロイヌナズナの根によるアンモニウム同化にNADH依存性グルタミン酸合成酵素が携わる

小島創一、小西範幸、マーセル・パスカル・バイアー、石山敬貴、丸郁美、早川俊彦、山谷知行
Plant Signal Behav. 9: e29402 (2014)

Kojima, S., Konishi, N., Beier, M.P., Ishiyama K, Maru, I., Hayakawa, T. and Yamaya, T. (2014) NADH-dependent glutamate synthase participated in ammonium assimilation in Arabidopsis root. Plant Signal Behav. 9: e29402.

 高等植物は二つのタイプのグルタミン酸合成酵素を有する。Fd-GOGATとNADH-GOGATである。Fd-GOGATは光呼吸の際に放出されるアンモニウムを葉で同化する。NADH-GOGATは根で高く発現し、その生理学的な機能は不明な点が残されていた。根へアンモニウムを与えると、NADH-GOGATの発現量は増大した。プロモーター解析と免疫染色はNADH-GOGATが、維管束や成長点、花粉、雌蕊、根などの非緑色組織に多く分布することを示した。アンモニウムを主要な窒素源として栽培すると、NADH-GOGATの機能を欠損した変異体の乾物生産量は減少した。アミノ酸解析は、変異体の遊離グルタミン酸濃度の減少を示した。これらのデータから、NADH-GOGATは根におけるアンモニウムの同化の鍵因子であると結論した。

Fig. 1

図1 NADH-GOGATを遺伝的に欠損する変異体のアミノ酸構成
野生型とNADH-GOGATの欠損変異体に7mMの硝酸を与えながら14日間生育させた。その後、3日間の窒素欠乏処理を行ったのちに、10mMの硝酸カリウムか塩化アンモニウムを与えた。6時間から24時間の範囲で植物を採取し、試料のアミノ酸濃度を測定した。野生型と変異体のアミノ酸濃度を比較し、色の変化で表示した。