成果報告

論文No.094

野生イネも高いケイ酸吸収能力を保持していた

三谷奈美季、大貝久生、山地直樹、馬建鋒
Physiol. Plant. 151: 200-207 (2014)

Mitani-Ueno, N., Ogai, H., Yamaji, N. and Ma, J.F. (2014) Physiological and molecular characterization of Si uptake in wild rice species. Physiol. Plant. 151: 200-207.

 イネは典型的なケイ素集積植物で、健全な生育には多量のケイ素を必要とします。これまでに栽培イネを用いた我々の研究では、イネの高ケイ素集積能は根に存在する内向きケイ酸輸送体Lsi1と外向き輸送体Lsi2によって成し遂げられることが明らかとなっています。本研究では、異なるゲノムを持つイネ野生種を用いて、ケイ酸の吸収や関連輸送体とその機能を栽培イネと比較しました。AA,BBとEEゲノムを持つ野生イネは栽培イネと比べ、根のケイ酸の吸収能力が少し劣りますが、地上部のケイ素集積量はほぼ同程度でした。また野生イネにもLsi1とLsi2遺伝子が存在し、塩基配列が数塩基異なる場合もありましたが、すべてケイ酸輸送活性を持っていました。さらに栽培イネと同様、Lsi1が外皮と内皮細胞の遠心側、Lsi2は同細胞層の向心側に偏在していました。これらのことから、野生イネも栽培イネと同じ高いケイ素集積能を保持していることが分かりました。