成果報告

論文No.085

イネの三種類のグルタミン合成酵素と二種類のグルタミン酸合成酵素の異なる機能の証明

山谷知行、草野都
J. Exp. Bot. 65: 5519-5525 (2014)

Yamaya, T. and Kusano, M. (2014) Evidences supporting distinct functions of three cytosolic glutamine synthetases and two NADH-glutamate synthases in rice. J. Exp. Bot. 65: 5519-5525.

 逆遺伝学を主な手法としてイネにおけるサイトゾル型GSとNADH-GOGATのアイソザイムの生理的な役割分担を明確化しました。GS1;2とNADH-GOGAT1は根におけるアンモニウムと初期同化で、またGS1;1とNADH-GOGATは老化葉からの窒素転流に重要な機能をもつことが判明しました。また、メタボローム解析から、GS1;1はC/Nのバランスをとる上で、極めて重要な位置にあることも示しました。

Fig. 1

図1 イネの根におけるGS1;2とNADH-GOGAT1によるアンモニウムの初期同化の概略図。
NADH-GOGAT1はシンク器官で根と老化器官から輸送されてきたグルタミンの再利用に重要かもしれない。

Fig. 1

図2 イネの老化器官におけるGS1;1とNADH-GOGAT2によるグルタミンの合成の概略図。
老化器官でGS1;1とNADH-GOGAT2がグルタミンを合成する。このグルタミンが篩管を経由して、シンク器官へ輸送される。