成果報告

論文No.072

アブラナ科植物における熱活性型レトロトランスポゾンONSENの進化

伊藤秀臣、吉田貴徳、塚原小百合、河邊昭
Gene 518, 256-261 (2013)

Ito, H., Yoshida, T., Tsukahara, S. and Kawabe, A. Evolution of the ONSEN retrotransposon family activated upon heat stress in Brassicaceae. Gene 518: 256-261 (2013)

 アブラナ科植物数種のゲノム配列を比較解析することで、"高温ストレスで活性化するトランスポゾン"のゲノム進化について解析した。その結果、このトランスポゾン配列は、ダイコンやブロッコリーを含むアブラナ科植物に広く保存されていることが明らかとなった。さらに、興味深いことにいくつかの種では高温ストレス環境下で転写活性を示した。このことからも、環境ストレスによって活性化したトランスポゾンが何らかの原因で転移すると、宿主植物のゲノム構造に大きな改変がおき、時には劇的なゲノム進化を生み出すのではないかと考えられる。

Fig. 1

図1 アブラナ科植物における高温ストレス活性型トランスポゾンの系統樹