成果報告
論文No.069
オートファジーは葉の老化時に起こるRubiscoの分解・リサイクルに寄与する
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小野祐樹、和田慎也、泉正範、牧野周、石田宏幸
- Plant Cell Environ. in press. doi: 10.1111/pce.12049. (2013)
Ono, Y., Wada, S., Izumi, M., Makino, A. and Ishida, H. Evidence for contribution of autophagy to Rubisco degradation during leaf senescence in Arabidopsis thaliana. Plant Cell Environ. in press. doi: 10.1111/pce.12049. (2013)
光合成のCO2固定酵素・Rubiscoは、葉において最も多量に存在するタンパク質であり、葉の老化時には分解されて窒素などの栄養素がリサイクルされる。Rubiscoは特異小胞Rubisco-containing body (RCB)として、細胞自己分解システム・オートファジーにより液胞に運ばれ分解されうるが、本経路の重要性について示した例はなかった。本研究では、Rubisco小サブユニット(RBCS)と蛍光タンパク質FP(GFP, RFP)の融合タンパク質を用いてRCB経路を定量評価する系を確立した。RBCS-FPは内在RBCSおよび大サブユニット(RBCL)と会合しRubisco-FPを形成した。これらを発現する葉を個別に暗処理し老化誘導すると、蛍光の液胞内への移行が観察された。この際、液胞内ではRubisco-FPがプロテアーゼによるプロセシングを受けfree-FPを生じることが分かった(図1)。GFPは光照射下では液胞プロテアーゼによる分解を受けるが、RFPはそのような条件下でも比較的安定であった。そしてRubisco-RFPの液胞への移行とプロセシングは、自然老化過程においても観察された。以上の結果は、RCBを介したオートファジーが葉の老化時に起こるRubisco分解に重要な貢献をしていることを示すものである。
図1 Rubisco-GFPのプロセシングによるRCB経路の定量評価
(A)Rubisco-GFPとfree-GFPはNative-PAGEにより分離可能である.(B)暗処理期間におけるRubisco-GFPとfree-GFP量の変化. 処理開始1日間では、Rubisco-GFPの少なくとも41%はRCB/オートファジー経路によって分解されている.