成果報告

論文No.062

イネマグネシウム輸送体遺伝子の発現上昇がアルミニウム耐性に寄与

陳 志長、山地直樹、本山立子、長村吉晃、馬 建鋒
Plant Physiol. 159, 1624-1633 (2012)

Chen, Z. C., Yamaji, N., Motoyama, R., Nagamura, Y. and Ma, J. F. (2012) Up-regulation of a magnesium transporter gene OsMGT1 is required for conferring aluminum tolerance in rice. Plant Physiol. 159: 1624-1633

 イネはアルミニウム耐性の強い植物種で、これまでの解析から複数の耐性遺伝子が関与していることを明らかにしてきた。本研究では、マグネシウム輸送体遺伝子OsMGT1の発現上昇もイネのアルミニウム耐性に寄与していることを突き止めた。OsMGT1は細胞膜に局在するマグネシウムトランスポーターで、転写因子ART1の制御下にある。アルミニウム処理でOsMGT1の発現が素早く誘導され、その結果、細胞内へのマグネシウム吸収が増加した。一方、この遺伝子を破壊すると、マグネシウムの吸収が減少し、アルミニウム耐性が弱くなった。しかし、マグネシウムの添加で耐性が回復した。これらのことは細胞内のマグネシウム濃度の増加がイネのアルミニウム耐性に寄与することを示している

Fig. 1

図1 アルミニウム耐性におけるマグネシウム輸送体関与の模式図