成果報告

論文No.053

イネのマンガンとカドミウム吸収に関与する主要な輸送体を同定。

佐々木明正、山地直樹、横正健剛、馬 建鋒
Plant Cell in press. DOI 10.1105/tpc.112.096925 (2012)

Sasaki, A., Yamaji, N., Yokosho, K. and Ma, J. F. Plant Cell in press. DOI 10.1105/tpc.112.096925 (2012)

 イネはマンガンを地上部に高濃度で集積し、しかも毒性を示さない。しかし、イネはどのようにマンガンを吸収するのかについては明らかではなかった。我々はNrampファミリーに属するNramp5がマンガン吸収に関わる主な輸送体であることを突き止めた。Nramp5は主に根で発現しており、その発現レベルはマンガンの過剰や欠乏に影響されず恒常的であった。Nramp5タンパク質は根の外皮と内皮細胞に局在し、面白いことに、いずれの細胞においても遠心側に極性局在をしていた。Nramp5を破壊すると、マンガンだけではなくカドミウムの吸収もほとんどなくなった。わら及び玄米中のマンガンとカドミウム濃度は破壊株で大幅に低下し、また籾収量も低下した。これらの結果から、OsNramp5はイネにおいてマンガンとカドミウムの吸収に必要な主要な輸送体であることを示している。

Fig. 1

図1 OsNramp5の局在。根の外皮と内皮細胞の遠心側に偏在している。