成果報告

論文No.052

発生情報と環境情報による植物の細胞周期制御。

小牧伸一郎、杉本慶子
Plant Cell Physiol. in press. DOI 10.1093/pcp/pcs070 (2012)

Komaki, S. and Sugimoto, K. Plant Cell Physiol. in press. DOI 10.1093/pcp/pcs070 (2012)

 植物は発生段階に合わせて細胞周期を調節することで、細胞増殖と細胞分化のバランスを制御し、最終的な形や大きさを決定する。また、動物のように動き回れない植物は周囲の環境に敏感に反応し、形や大きさを変化させることで適応するが、この反応にも細胞周期の調節が重要な役割を果たす。細胞周期の進行にはサイクリン(CYC)およびサイクリン依存的キナーゼ(CDK)をはじめとする細胞周期因子が重要な役割を果たし、これら因子の機能が転写や翻訳後修飾によって制御されることが知られている。これまでその詳細な分子メカニズムはわかっていなかったが、近年のゲノムワイドなトランスクリプトーム解析やプロテオミクス解析によって細胞周期因子の制御機構が少しずつ明らかになってきた。本総説では、側根や気孔の形成に必要な発生シグナル、そして塩ストレスやUVストレスといった環境シグナルが実際にどの細胞周期因子を制御することで植物の形態形成や適応反応に関わっているかに注目し、最新の知見を紹介している。

Fig. 1

図1 発生シグナルと環境シグナルによる細胞周期制御経路
植物は生育段階や周囲の環境によってさまざまな制御機構を通して細胞周期を調節し、適切な形を作っていく。