成果報告

論文No.011

FINE CULM1 (FC1)はストリゴラクトンの下流で腋芽の伸長を抑制する

水口皓介、亀岡啓、安野奈緒子、梅原幹久、ルオル、小林薫、花田篤志、上野琴美、浅見忠男、山口信次郎、経塚淳子
Plant & Cell Physiology 51, 1127-1135 (2010)

Minakuchi, K., Kameoka, H., Yasuno, N., Umehara, M., Luo, L., Kobayashi, K., Hanada, A., Ueno, K., Asami, T., Yamaguchi, S. and Kyozuka, J. (2010) FINE CULM1 (FC1) works downstream of strigolactones to inhibit the outgrowth of axillary buds in rice. Plant & Cell Physiology 51: 1127-1135

 ストリゴラクトンが腋芽の伸長を抑える植物ホルモンとして発見されたのは最近のとこであり、ストリゴラクトンがどのように働くのかはまだよくわかっていません。この研究では、ストリゴラクトン変異体と似た表現型を示すfine culm1 (fc1) 変異体とストリゴラクトンの関係を調べました。FC1は、トウモロコシの栽培植物化に貢献したtb1遺伝子のイネオーソログで、FC1遺伝子からはTCPドメインをもつ転写因子がつくられます。遺伝学的な解析からはストリゴラクトンとFC1の関係を示す強い証拠は得られませんでした。野生型植物に高濃度のストリゴラクトンを与えると腋芽伸長が阻害されますが、この効果はfc1変異体では見られませんでした。この結果は、FC1とストリゴラクトンが無関係ではないことを示しています。一方、FC1はサイトカイニンの制御も受けることがわかりました。これらの結果から、FC1の働きは腋芽伸長の抑制に関わる複数の経路によって支配されていると考えられます。

Fig. 1

図1 植物の葉の腋には腋芽とよばれる芽があります。これが伸びて枝分かれになります。最近、腋芽の伸長を抑制するホルモンの正体が明らかになりました。