成果報告

論文No.005

シロイヌナズナ根の枝分かれは、アンモニウムによってアンモニウム輸送担体1;3に依存的に促進される

ジョニ・リマ、小島創一、高橋秀樹、ニコラス・フォン・ヴィーレン
Plant Cell 22, 3621-3633 (2010)

Lima, J., Kojima, S., Takahashi, H. and von Wirén, N. (2010) Ammonium triggers lateral root branching in Arabidopsis in an AMT1;3-dependent manner. Plant Cell 22, 3621-3633

 植物の根系の発達は、植物の栄養状態や、植物が利用できる環境中の栄養状態に強く依存している。硝酸を根へ供給すると側根の伸長が促進されることは既に知られていたが、我々はシロイヌナズナの根へ局所的にアンモニウムを供給すると、側根の数や高次根の枝分かれが促進されることを見いだした。局所的なアンモニウムの供給による側根数の増加や、高次根の枝分かれの促進は、安定同位体標識窒素の蓄積には関連が見られなかったことから、この現象は、植物根の栄養状態の変化による応答ではなくて、根によるアンモニウムの検知によって引き起こされていると考察した。アンモニウムによる根の枝分かれの促進効果は、アンモニウムトランスポーター(AMT)を四重に欠損する変異体(qko; amt1;1, amt1;2, amt1;3, amt2;1)では、ほとんど見られなくなり、AMT1;3を欠損する変異体でも、野生型と比較して有意に減少した。また、AMT1;3をqkoamt1;3へ相補した系統では、アンモニウム依存的な側根の枝分かれが回復したが、AMT1;1では相補することができなかった。以上の結果から、シロイヌナズナ根は、AMT1;3によってアンモニウムを検知し、根を枝分かれさせることが明らかとなった。

Fig. 1

図1 硝酸やアンモニウムを局所的に根へ与えると根の高次構造が変化する
寒天培地の中央に溝を作り培地を左右に分割した。左側の培地は、ごく低濃度の窒素栄養しか含まれていないのに対して、右側の培地は、0.8 mMの硝酸またはアンモニウムが含まれる。植物根を低濃度培地に移植し、側根の一本を右側の培地へ導入して培養を行った。植物根の大部分は窒素が欠乏しているが、一本の側根は中央の溝を飛び越えて、硝酸またはアンモニウムが供給されている。この状態で培養することで、側根の発達を評価できる。硝酸が側根の伸長を促進するのとは対照的に、アンモニウムは側根の枝分かれを促進した。

Fig. 2

図2 アンモニウムトランスポーターが欠損すると、局所的なアンモニウムの供給に応答した側根の分岐が減少する
図1の野生型とは対照的に、アンモニウムトランスポーターを欠損するqkoでは、局所的にアンモニウムを供給されても、野生型と比較して、側根の枝分かれが少なくなる。局所的なアンモニウムの供給とは対照的に、局所的に硝酸を与えた場合の側根の伸長応答は失われていない。


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