成果報告

論文No.002

アルミニウムトランスポーターの同定

夏継星、笠井智成、山地直樹、馬建鋒
Proceedings of the National Academy of Sciences, U.S.A. doi/10.1073/pnas.1004949107

Xia, J. X., Kasai, T., Yamaji, N. and Ma, J. F. (2010) Plasma membrane-localized transporter for aluminum in rice. Proceedings of the National Academy of Sciences, U.S.A. doi/10.1073/pnas.1004949107

 アルミニウム(Al)は地殻中にもっとも豊富に存在する金属であるが、酸性条件下でイオンとして溶出され、全ての生物に毒性を示す。特に、世界の耕地面積の3~4割を占める酸性土壌において、アルミニウム毒性は作物の生育を阻害する主な因子となっている。しかし、これまで、アルミニウムがどのように細胞の中に入るのかは謎に包まれていた。我々はイネの根においてアルミニウムを細胞内に輸送するタンパク質Nrat1を発見した。この輸送体は根の細胞の細胞膜に局在し(図1)、三価のアルミニウムイオンを特異的に輸送する(図2)。この輸送体を操作することで、今後アルミニウム耐性植物の作出に寄与できる。

Fig. 1

図1 アルミニウムトランスポーターNrat1の細胞内局在

Fig. 2

図2 Nratのアルミニウム輸送活性


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