NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究成果の紹介

植物代謝制御研究室の上野大心さん(博士後期課程1年)が「日本生物工学会」において「第7回生物工学学生優秀賞(飛翔賞)」を受賞しました。

植物代謝制御研究室の上野大心さん(博士後期課程1年)が「日本生物工学会」において「第7回生物工学学生優秀賞(飛翔賞)」を受賞しました。

受賞のコメント

生物工学学生優秀賞(飛翔賞)を受賞することができ、大変嬉しく光栄に思います。
これまで支えて下さった方々に心より感謝申し上げます。更なる研究の発展を目指し、今後も精進していきたいと思います。


写真右側が上野大心さん

受賞内容

「mRNAの内部切断に関わる配列的特徴の解明」

外来導入遺伝子を細胞内で発現させる上で、mRNAの安定性は重要である。この安定性を制御する機構の一つとしてmRNAの分解機構が挙げられる。mRNAの分解機構はポリA鎖の短縮、もしくはエンドヌクレアーゼ等によるmRNA内部配列の切断に依存する分解機構に大別することができる。ポリA鎖の短縮に依存する分解機構に関しては、酵母等において詳細な解析が行われているが、内部配列の切断に依存する分解機構に関しては、酵母を含め動植物を問わず詳細は不明である。植物においては、切断部位を同定する網羅的な分解産物解析がいくつか報告されているが、検出される切断部位が遺伝子の3’側に偏るなど、実験手法上の問題が存在した。従って、これらの情報から各切断部位の切断のされやすさを正確に数値化することができず、結果としてその切断に関わる機構や配列的特徴は不明であった。そこで本研究では、これらの問題点を改良した手法として Truncated RNA end sequencing (TREseq) を確立し解析を行った。この新たな手法では、検出される切断部位が3’末端側へ偏ることを大幅に軽減した。また、mRNAの各切断部位の切断のされやすさを基に場合分けし、解析を行ったところ、切断部位の周辺には顕著な塩基の偏りが観察された。これらの解析により切断に関わる配列的特徴を明らかにすることができれば、導入する外来遺伝子について切断されやすい配列をあらかじめ予測し除去するなど、導入遺伝子の効率的発現に寄与すると考えられる。

日本生物工学会
https://www.sbj.or.jp/awards/awards_hisho.html

【植物代謝制御研究室】
研究室紹介ホームページ:http://bsw3.naist.jp/courses/courses104.html
研究室ホームページ:http://bsw3.naist.jp/demura/

(2018年09月12日掲載)

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