研究成果

研究成果

バイオサイエンス研究科植物代謝制御研究室の大谷美沙都助教が、公益社団法人 日本植物学会の平成28年度(第13回)日本植物学会賞奨励賞を受賞

バイオサイエンス研究科植物代謝制御研究室の大谷美沙都助教が、公益社団法人 日本植物学会の平成28年度(第13回)日本植物学会賞奨励賞を受賞しました。

【受賞のコメント】

この度は、栄えある日本植物学会賞・奨励賞を戴き、非常に光栄に思っております。受賞対象となった研究は、大学院生時代から取り組んできたシロイヌナズナ変異体を材料とした分子遺伝学的研究と、ポプラやヒメツリガネゴケといった幅広い植物種を材料とした通水細胞分化に関する進化発生学的研究を含んだものです。ここまでの研究成果は、院生時代の指導教官であった東京大学理学系研究科の杉山宗隆准教授、そして現在の所属研究室主宰者である奈良先端科学技術大学院大学・出村拓教授をはじめとした、多くの共同研究者のみなさまのご助力あっての賜物であり、ここに改めてみなさまに感謝いたしたいと思います。
今後は奨励賞の名に恥じぬよう、これらの内容をさらに発展させ、ユニークな視点から植物の在り方を読み解く独自の研究展開を目指そうと思います。 

【受賞内容】

植物細胞の増殖・分化を制御する多層的遺伝情報発現制御に関する研究

植物は環境や状況に合わせて柔軟に細胞増殖と細胞分化を制御しています。私は、この制御を支えている多層的な遺伝情報発現制御の仕組みを分子レベルで明らかにしてきました。一つには、種々のRNA代謝制御が植物の器官再生や植物発生の各場面によって異なる重みをもって機能していること、とくに、脱分化および新たな分裂組織の形成にはsnRNAの転写制御とsnRNPの形成に関わるRNAヘリカーゼの機能が重要であることを示しました。これらの結果をもとに、RNAレベルでの遺伝子情報の刈り込み・増幅が、植物の柔軟な細胞増殖・分化制御を裏打ちしている分子メカニズムの一つであるという仮説を提出するに至っています。また、進化発生学的アプローチによって、遺伝子発現制御ネットワークの進化が陸上植物進化にどのように関わっているのかを高い解像度で論じることに成功しました。とくに、通水細胞分化のマスター制御因子であるNAC転写因子VNDとそのホモログ遺伝子群(VNS群)の分子機能解析を行い、通水細胞の分化過程では転写のオンオフだけではなく、その前段としてのエピゲノム制御、転写後のタンパク質相互作用や翻訳後修飾など、多層的な遺伝子発現制御機構が重要であることを明らかにしました。さらに、初期の陸上植物が獲得したVNS群による細胞死誘導システムの確立が、効率的な水輸送の可能な通水細胞の進化に繋がった可能性を示しました。以上の研究を通して、植物細胞の柔軟な増殖・分化制御の分子機構の一端を明らかにすることができたと考えています。 


日本植物学会ホームページ
http://bsj.or.jp/jpn/members/information/2813.php

【植物代謝制御研究室】

研究室紹介ページ:http://bsw3.naist.jp/courses/courses104.html
研究室ホームページ:http://bsw3.naist.jp/demura/

(2016年10月18日掲載)

一覧へ戻る