成果報告

論文No.096

カドミウム超集積に関与するNcNramp1

Matthew J. Milner、 三谷奈見季、 山地直樹、 横正健剛、 Eric Craft、 Zhangjun Fei、 Stephen Ebbs、 M. Clemencia Zambrano、 馬建鋒、Leon V. Kochian
Pant J. 78: 398-410 (2014)

Milner, M.J., Mitani-Ueno, N., Yamaji, N., Yokosho, K., Craft, E., Fei, Z., Ebbs, S., Clemencia Zambrano, M., Ma, J.F. and Kochian, L.V. (2014) Root and shoot transcriptome analysis of two ecotypes of Noccaea caerulescens uncovers the role of NcNramp1 in Cd hyperaccumulation. Pant J. 78: 398-410

 グンバイナズナ(Noccaea caerulescens)は亜鉛とカドミウムの超集積植物として知られています。またエコタイプによって、集積パターンが異なり、PrayonとGangesは同程度の亜鉛を集積しますが、Ganges はPrayonよりカドミウムを多く集積します。しかし、カドミウムの高集積に関与する分子機構はまだ明らかではありませんでした。我々はマイクロアレイを用いて、Gangesで高く発現している遺伝子を調べました。そのうちの一つは二価の金属を輸送するNramp輸送体ファミリーに属するNcNramp1です。NcNramp1の機能を解析したところ、細胞膜に局在し、カドミウム輸送活性を持つことが分かりました。また根において内皮細胞に局在していました(図1)。両エコタイプ間でNcNramp1の組織、細胞局在や輸送活性には差が認められませんでした。しかし、NcNrmap1の発現量は常にGangesでは高く、またこれはNcNramp1のコピー数に起因することを明らかにしました。NcNramp1をシロイヌナズナに発現させると、カドミウムの吸収が増加しました。これらのことから、NcNramp1はGanges のカドミウムの超集積に関与していることを示しています。

Fig. 1

図1 GangesとPrayonにおけるNcNramp1の組織・細胞局在性