成果報告

論文No.067

APC/C活性化因子CCS52A1の発現抑制によって積極的に細胞成長が終了する

クリスチャン ブラウア、諸橋賢吾、河村彩子、高橋直紀、石田喬志、梅田正明、エリック グロトワルド、杉本慶子
EMBO J. 31, 4488-4801. (2012)

Breuer, C., Morohashi, K., Kawamura, A., Takahashi, N.. Ishida, T., Umeda, M., Grotewold, E. and Sugimoto, K. Transcriptional repression of the APC/C activator CCS52A1 promotes the active termination of cell growth. EMBO J. 31: 4488-4801. (2012)

 植物の成長は細胞増殖とその後の伸長成長により規定される。なかでも我々は最近、細胞の伸長成長を能動的に停止させる仕組みが存在することを明らかにしており、こうした積極的な細胞成長制御が環境変動下での植物の成長戦略に不可欠であると考えている。シロイヌナズナのトライへリックス型転写因子 GTL1は細胞成長の終了時期で特異的に発現し、細胞成長を停止させる (Breuer et al. 2009)。この論文ではマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析及びクロマチン免疫沈降解析から、GTL1の下流で働き、植物の細胞成長を直接制御する可能性のある約180個の遺伝子を単離した。この中から特に細胞成長に伴って進行する細胞周期である核内倍加の制御に関する因子に関する解析を行い、GTL1 がユビキチンリガーゼAPC/Cのアクティベーターとして知られるCCS52遺伝子の上流プロモーター領域に結合し、その発現を抑制することを見出した。またその後の遺伝学的解析からこうしたGTL1 によるCCS52遺伝子の発現抑制が、能動的な細胞伸長抑制を司る主要経路であることを解明した。

Fig. 1

図1 GTL1はCCS52A1遺伝子の発現を抑制することにより、細胞成長を終了させる。