細胞膜の形態を形成するタンパク質と細胞間コミュニケーション

重要な疾患である癌形成やさまざまな疾患において、細胞の形態変化が伴います。細胞の分化、初期化においても同様です。しかし、脂質膜の結合タンパク質がどのように変化、あるいは活性制御を受け、クラスリン被覆小孔、カベオラ、フィロポディア、ラメリポディア、ポドソームなどの細胞小器官の形成に異常が生じ、このような細胞の形態変化が生じるかについては不明な点が多く残されています。当研究室では、これらの形態形成機構を明らかにすべく、BARタンパク質などの膜結合性タンパク質や脂質膜の裏打ちとして広く存在するアクチン細胞骨格による細胞構造構築とその細胞内シグナリングにおける役割を明らかにします。膜結合性タンパク質による膜の形態形成の試験管内での再構成を行い、ついで、再構成により得られた知見と細胞機能の相関を調べます。

これらの結果、細胞外小胞(エクソソーム、エクトソーム)形成の新規機序やその作用機序、細胞遊走機構の解明、貪食における構造構築などが明らかになってきました。

深層学習による細胞の形態解析

画像解析技術の進展は、細胞の形態の解析において、新たな可能性を示しています。例えば、細胞の構造の自動認識による細胞の選別や、動画像の解析などによる、細胞の将来の振る舞いの予測などの可能性がひらけます。データサイエンスコースでは、研究室で取得した細胞の形態を形成する上記タンパク質などの細胞画像を用いて、深層学習による新しい知識発見を行います。

キーワード

生化学、細胞生物学、構造生物学、生物物理学、データサイエンス、深層学習、画像解析
細胞運動、浸潤、細胞増殖、がん、細胞内輸送、エンドサイトーシス、ラメリポディア、フィロポディア、脂肪酸、脂質膜、BARドメイン、アクチン、細胞骨格、リン脂質、イノシトールリン脂質、細胞外小胞、エクソソーム