ヒト体細胞から神経細胞へのリプログラミング誘導
ヒト体細胞を用いたリプログラミングは、神経細胞に限らず、心筋や肝臓においても効率が低いことや、マウスに比べて多くの転写因子を導入する必要があることが知られています。私たちはこれまで、マウスのミクログリアにたった一つの転写因子であるNeuroD1を導入するだけで神経細胞にリプログラミングできることを示してきました。しかし、同じ方法ではヒトミクログリアから神経細胞を誘導することができないことも明らかにしています。
この結果は、ヒト体細胞にはリプログラミングを容易に起こさせないバリア機構が存在することを示唆しています。現在、私たちは、ヒト体細胞から神経細胞へのリプログラミングを妨げるバリア因子とそのメカニズムの解明に取り組んでいます。
具体的な手法として、CRISPR-Cas9を用いたノックアウト(KO)またはアクティベーションライブラリースクリーニングを実施し、リプログラミングのバリア形成に関わる因子を特定します。