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Research

キーワード:木質細胞、遺伝子発現制御、細胞分化、細胞壁形成、木質バイオマス、植物バイオテクノロジー、バイオインフォマティクス、植物の力学応答

木質細胞分化の制御機構の解明と木質バイオマス改変バイオテクノロジー開発:出村教授

持続可能な社会の構築に向けて、モデル植物や実用植物のオミクス情報や分子生物学的研究成果をもとに、木質細胞(道管細胞=水輸送細胞、繊維細胞=支持細胞)分化の制御機構の解明、それを応用した木質バイオマス改変バイオテクノロジー開発を行っています。

様々なモデル研究システム(シロイヌナズナや培養細胞)とオミクス(ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボローム)解析を組み合わせて、木質バイオマスを構成する木質細胞の分化制御の解明に取り組んでいます。とくに、道管細胞分化を制御するしくみ(図1)を分子レベルで明らかにしてきました。これまでに木質細胞の分化のスイッチである転写因子(VND7)など、たくさんの重要遺伝子の発見に成功しています(図2)。

コケ植物からもVND7とよく似た遺伝子(ホモログ)を見出し、その機能がコケでも水輸送細胞や支持細胞形成に重要であることを突き止めました(図3)。このことから、VND7とその遺伝子ファミリーは、陸上植物に広く保存された木質細胞分化のマスター制御因子であると考えられます。

基礎研究で得られた成果を応用し、木質バイオマスの性質を目的にあわせて自在に「デザイン」するため、早生樹木であるポプラをモデルとして、木質バイオマス改変バイオテクノロジーの開発に取り組んでいます(図4)。これによって、将来的に木質バイオマスが量的・質的に改良された樹木の作出を目指しています。

 

細胞内膜系オルガネラによる植物細胞壁形成の分子制御メカニズム:國枝助教

私たち真核生物の細胞には細胞小器官(オルガネラ)と呼ばれる様々な構造体が存在しています。葉緑体などの植物に特有な構造体がある一方で、細胞核や小胞体、ゴルジ装置など動物と共通するオルガネラを植物細胞はもっています。私たちの研究室では、このような真核生物に普遍的に存在するオルガネラが、植物細胞を象徴する構造体である細胞壁の形成にどのように関わっているのかを明らかにすることを目指しています。

細胞壁を構成する多くの成分の合成には、ゴルジ装置が重要な役割を担っていることが分かっています。私たちは、ゴルジ装置で合成された細胞壁成分が細胞膜外へと内膜系オルガネラを経て分泌輸送される過程に着目し、その制御因子の同定をはじめ、それら因子が関与する分子メカニズムを解明しようと研究を進めています。種子がもつ特殊な細胞壁構造“ムシレージ”を主要な研究対象にして、ムシレージの形成を制御する複数の因子をこれまでに同定してきました。植物細胞の形態を決める細胞壁は、植物個体の形態形成においてもとても重要です。ユニークな植物の形づくりを、生物の最小単位である細胞の内側で起こるミクロな仕組みから一緒に解き明かしてみませんか?

 

データサイエンス技術を活用した植物器官の形態形成制御メカニズムの研究:中田助教

植物は茎・葉・花・根など様々な器官から成り立っており、それぞれの役割に適した形をしています。一方で、適した形を形成・維持するために、しなやかさや硬さといった力学的な性質(力学特性)もとても重要です。植物の力学特性を決めるのは、「細胞の膨圧」と「細胞壁」です。マメ科植物が膨圧を自在に制御することで葉の動きを駆動していることはよく知られています。また、樹木では幹や側枝を上向きに曲げるために、自重に打ち勝つとても大きい力を生み出す「あて材」を形成しますが、その力を生み出すのはあて材でのみ見られる特殊な細胞壁層であることがわかっています。

私たちは、植物器官の形態形成を制御するメカニズムを明らかにするため、様々なスケール(遺伝子・細胞壁・組織・器官レベル)で分子的・力学的観点からの研究に取り組んでいます。モデル植物シロイヌナズナや作物・樹木を含む様々な植物種を対象とし、遺伝子解析・細胞壁分析・力学試験に加え、PC制御カメラや顕微鏡、X線CTによる3D・4D観察ツールや、統計学・機械学習等を駆使した測定データ・画像データの大規模解析プログラムの開発にも取り組んでいます。

研究プロジェクトの例:

  • 固有振動数解析と3点曲げ試験によるシロイヌナズナ花茎の力学特性の解析 参考1 参考2
  • 野外におけるユーカリ幼木の発達過程の時系列解析
  • マイクロX線CTによるユーカリ側枝の木質形成過程の解析
  • ユーカリ側枝の成長と屈曲を制御する頂芽支配メカニズムの解析
  • マメ科植物を材料とした葉の運動組織の細胞壁と力学特性の解析 参考

 

植物の力学的最適化戦略に基づくサステナブル構造システムの基盤創成~植物構造オプト~

植物の力学的最適化の実際を、分子、細胞、組織、個体といったマルチスケールで理工学的に読み解くことを目的としています。例えば、地球上の樹木は重力や雨風に耐えながら、その幹や枝を支える重力屈性や倒木耐性を進化の歴史の中で獲得してきたと考えられていますが、果たして本当に植物は力学的に最適化された構造を備えているのでしょうか?私たちは樹木や植物の水平からの起き上がりを観測する屈性実験や、植物のどこにどのような力が働いているかを推測する数理モデルの解析を通して、植物の力学的特性を理解する研究を行っています。さらには、得られた力学的知見を新規の省エネルギー・省部材の建築設計や新材料モデルに昇華させ、次世代型のサステナブル構造システムの基盤を創成することを目指しています。

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