NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

セミナー情報

器官前駆細胞の自律的な集団形成メカニズムとその生理的な意義

演題 器官前駆細胞の自律的な集団形成メカニズムとその生理的な意義
講演者 松井 貴輝 博士
(奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科 助教)
使用言語 日本語
日時 2016年9月8日(木曜日) 13:30~14:30
場所 大セミナー室
内容 生物の発生において、細胞は増殖し、性質の異なる細胞へと分化す る。分化した細胞は自律的に集まり、個々の細胞の挙動が集団として のグローバルな振る舞いに変換され、高次機能を有する器官・臓器が 構築される。その後、構築された器官・臓器は、配置を左右非対称にす ることで、狭い身体の中(空間)に効率良く収められる。いったい、どの ようなしくみで、器官・臓器の大きさ、形、配置は決められるのだろうか。 これらの多くは、未解決な問題として残っている。我々は、魚類の胚発 生の際に共通してあらわれ、臓器の左右非対称な配置を運命づけると される器官(クッペル胞)の形成メカニズムをゼブラフィッシュで解析し、 クッペル胞の前駆細胞が自律的にクラスターを形成することが、クッペ ル胞(器官)の大きさ、形を規定し、左右非対称な臓器配置の完成へと つづく一連のプロセスの鍵であることを発見した。また、ライブイメージ ング、レーザー光学などの手法を活用した融合研究を展開し、クッペル 胞器官の大きさのばらつきは、「細胞数感知システム」に加え、「スケー リングシステム」(サイズの違いに対応して正常な機能を発現させる)に よって許容されることが明らかになりつつある。今後、これらの「細胞が グローバルに振る舞う」しくみを解明することを通して、生物の形づくり、 特に、器官形成の基本原理を理解したいと考えている。
問合せ先 遺伝子発現制御研究室
別所 康全 (ybessho@bs.naist.jp)

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