セミナー情報

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有用植物遺伝資源の高度利用化に向けたシステムズ・バイオロジーの確立

演題 有用植物遺伝資源の高度利用化に向けたシステムズ・バイオロジーの確立
講演者 矢野 健太郎 博士(明治大学農学部 准教授)
使用言語 日本語
日時 平成26年12月12日(金曜日) 16:00~17:00
場所 大セミナー室
内容
 高速シーケンサーに代表されるように, ウエット実験の低コスト・大規模化が進展し, 利用可能な植物オミックス情報がWeb上に蓄積している. これらのオミックス情報を積極的に活用することにより, 新たな生物学的知見を効率的に導出できる. このアプローチには, ゲノムやトランスクリプトームといった各オミックス要素の解析(たとえば, 新規遺伝子の発見や遺伝子発現制御の同定)だけではなく, 表現型決定に至るオミックス間相互作用(環境要素も含む)の解析, すなわち, システムズ・バイオロジーへの展開が含まれる. グリーン・イノベーションに資する新規有用遺伝資源を探索し、高度利用化を達成するためには, 集積する大規模オミックス情報を的確・迅速にハンドリングするバイオインフォマティクス基盤の早期整備が喫緊の課題である.
 当プロジェクトでは, オミックス統計解析手法とGUIソフトウェアの開発, また, オミックス解析から得られた情報を提供するためのWebデータベースの構築を進めている. たとえば, 遺伝子発現情報解析は, 階層的クラスタリング(HCL) が広く用いられている. ここで, HCLは多くの計算機メモリーと計算時間を要求するため, 大規模な遺伝子発現情報を処理できない. また, デンドログラムとヒートマップを用いた結果の視覚化では, 大規模データを俯瞰できないため, 解釈が困難である. そこで, 当プロジェクトでは, 多変量解析の1つである対応分析を応用し, 発現が類似する遺伝子群を高精度・迅速・ハイスループット・低コストに同定するための統計手法とソフトウェアCA_Plot_Viewerを開発している(図1左). 本手法の適用により, 発現プロファイルの類似性に基づく遺伝子ネットワーク(GEN:Gene Expression Network)も迅速に構築できる. 当プロジェクトでは, シロイヌナズナ, イネ, トマト, ダイズなどの主要モデル植物・農作物種のGENを構築し, 異なる植物種のGENをオーソログ情報により結合することによって, 横断的な比較解析を実現した. さらに, 自然言語処理(NLP; Natural Language Processing)とマニュアル・キュレーションを併用した文献情報テキスト・マイニングより, 遺伝子の高精度機能アノテーションを付加している. 以上の大規模情報は, 当プロジェクトが運営するWebデータベースPODC(Plant Omics Data Center)より提供している(図1右). また, 講演では, 当プロジェクトが進めているシス因子配列同定手法やSNP探索手法の開発などについても紹介する.
問合せ先 植物代謝制御
出村 拓 (demura@bs.naist.jp)

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