NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

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翻訳伸長複合体の運命決定機構におけるユビキチン化の新規機能

演題 翻訳伸長複合体の運命決定機構におけるユビキチン化の新規機能
講演者 稲田 利文 教授(東北大学大学院 薬学研究科)
使用言語 日本語
日時 2014年11月19日(水曜日) 16:00~17:00
場所 大セミナー室
内容
【Abstract】  正確な遺伝子発現は生命現象の根幹であり、その破綻や異常は様々な疾患の原因となる。細胞の保持する品質管理機構は、異常な遺伝子産物を認識し排除することで遺伝子発現の正確性を保証している。我々は、翻訳伸長段階での異常を認識する品質管理機構を解明し、mRNAとタンパク質の品質管理機構が協同的に作用する事により遺伝子発現の正確性が保証されることを見出した。連続した塩基性配列等により翻訳伸長反応が阻害された場合、mRNA品質管理機構であるNGD(No-Go-Decay)によってmRNAが分子内で切断される。また、タンパク質の品質管理機構であるRQC(Ribosome Quality Control)によって、合成途中の新生鎖がユビキチンープロテアソーム系で分解される。また、異常18S rRNAを含むリボソームが翻訳伸長中に停滞した場合にも、18S NRD(Nonfunctional rRNA decay)と呼ばれる品質管理機構によって異常なrRNAが迅速に分解される。最近我々は、E3ユビキチンライゲースRQT1が3つの品質管理機構(NGD、RQC、18S NRD)に必須な役割を果たすことを見出した。RQT1によるユビキチン化によって、翻訳伸長複合体の運命が決定される分子機構について紹介する。        

【References】
1)Tsuboi et al. Mol. Cell (2012)
2)Brandman et al. Cell (2012)
3)Kuroha et al. EMBO Rep. (2010)
4)Ito-Harashima et al. Genes Dev. (2007)
問合せ先 動物細胞工学
河野 憲二 (kkouno@bs.naist.jp)

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