NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

セミナー情報

老化・寿命研究の最前線
-Rapport between aging and metabolism-

演題 老化・寿命研究の最前線
-Rapport between aging and metabolism-
講演者 田口 明子 准教授(宮崎大学医学部内科学講座神経呼吸内分泌代謝学分野)
使用言語 日本語
日時 2013年11月22日(金曜日) 16:00~17:00
場所 L13会議室
内容
老化は全ての生物に備わった生物体必須の内在性要因です。 老化に関する研究は、Gerontologyとして古くから進められてきましたが、分子生物学や分子遺伝学からのアプローチは意外にも遅れていました。しかしながら、1990年代後半から下等動物モデルを用いた分子遺伝学的解析により、インスリン様シグナルが老化・寿命調節に関与しているという論文が相次いで報告され、以来、Molecular genetics of agingという分野が確立され、研究が激化しています。それらの報告でショッキングだったのは、インスリン様シグナル構成因子のLoss of Function (LOF)がbenefitをもたらすという内容でした。すでにヒトを含む高等動物においては、インスリン様シグナルの低下・欠損は糖尿病を含む代謝疾患を導くことが明らかとなっていたため、相反するこの事実をどのように解釈すべきか、どのようなメカニズムによるのか、実は今もこの疑問の答え探しに我々を含む世界中が奮闘しています。それを理解する1つのカギとして、我々は脳のインスリン様シグナルの役割に注目して解析を続けています。これまでの結果から、脳のインスリン様シグナルの役割は末梢組織におけるものとは違い、下等動物同様に、その低下により寿命を延長し、またアルツハイマー病を改善することまで判ってきました (Taguchi A et al. Science 2007; 2008; Killick R et al. BBRC 2009; Freude S et al. FASEB J 2009)。今回は、ボストンで続けてきたこれまでの仕事の結果とともに、最新の未発表データーを交えながら、老化・寿命研究の歴史と最前線についてご紹介したいと思います。

問合せ先 神経機能科学
塩坂 貞夫 (sshiosak@bs.naist.jp)

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