NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

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次世代シーケンサーを用いたメタゲノム研究の最前線

演題 次世代シーケンサーを用いたメタゲノム研究の最前線
講演者 宋 碩林 博士(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)
使用言語 日本語
日時 2013年11月29日(金曜日) 10:00~11:30
場所 L12会議室
内容
ヒトゲノム以外に人間にはもう1つのゲノムがあるといわれたら,あなたは驚くだろう! 事実として人間にはもう1つのゲノムがある.それはあなたの皮膚,腸内,鼻などいろいろなところに生息している細菌叢のゲノム (メタゲノム) のことである.微生物にとっては人体も環境のひとつであり,たとえば腸内には約1千種類の細菌が生息し,その重量が約1.5 kg といわれている.人種,年齢などによって人それぞれ異なる腸内細菌叢を持っている.メタゲノム解析とはヒトの腸内細菌叢,海中の微生物叢,海底の鯨骨細菌叢,農場土壌の細菌叢などの環境サンプルから直接に回収されたゲノムDNA を扱う新しい研究分野である.従来の微生物のゲノム解析では単一菌種の分離・培養過程を経てゲノムDNA を調製していたが,メタゲノム解析は単一菌種の分離・培養過程を経ずに,微生物の集団から直接そのゲノムDNA を調製し,ヘテロなゲノムDNA をそのままシークエンスして同定する.そのため,従来の方法では困難であった難培養菌のゲノム情報が入手可能となった.次世代シークエンサーの登場によって,様々な環境に生息するメタゲノムを解析し,その環境に重要な影響を及ぼす微生物を見つけ出すことが迅速かつ正確に行えるようになったのである.本講演では,次世代シークエンサーをより身近にしたGS Juniorベンチトップシステムと,ヒトの腸内細菌のみならず,多様な環境サンプルのメタゲノム解析を行った興味深い研究例を紹介する.  
問合せ先 システム微生物学
森 浩禎 (hmori@gtc.naist.jp)

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