セミナー情報

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メダカのトランスポゾンTol2の内在性転移について

演題 メダカのトランスポゾンTol2の内在性転移について
講演者 飯田 敦夫 博士(京都大学再生医科学研究所)
使用言語 日本語
日時 平成25年7月12日(金曜日) 16:30~17:30
場所 D105セミナー室
内容
研究室のセミナーや、学会等で「質問したいけれど緊張してそんなのできない」、「変なことを聞いてしまったら恥ずかしい」みたいな悩みを持ったことありませんか?

そんなあなたはセミナーでの質問力(?)を向上してみたいと思いませんか?
 
このセミナーは、主催運営がほぼ学生によってなされている学生主体のセミナーです。講師の先生も、若手のとても親しみやすい先生です。分野外の研究をしてる人も、自分の研究に活用できそうな人もぜひぜひ気軽にご参加ください。もちろん学生以外の方のご参加も大歓迎ですが、本セミナーの趣旨により、質問時に学生の質問を優先させていただく場合がございます。
 
今回のテーマはバイオに偏っていますが、情報の方も物質の方もぜひご参加ください。とてもおもしろく親しみやすい先生ですので、気軽に分からないことに答えていただけます。他分野のことを知るいい機会だと思います。

【セミナー要旨】
トランスポゾンは染色体上で転移することで、遺伝子の突然変異や染色体の構造変異を引き起こす。このためゲノム再編の原動力となっていると考えられている。メダカの Tol2 因子は脊椎動物ではじめて、転移活性を保持するトランスポゾンとして同定された(Koga et al., 1996)。Tol2 因子は内部に自身の転移を触媒する転移酵素をコードし、メダカのゲノムに 2n あたり約 20 コピー存在する。しかしゲノムに内在するコピーの転移活性は極めて低く、体細胞における微量の転移を検出することはできても、生殖細胞における転移(子孫へ遺伝するトランスポゾンによる突然変異)を飼育下で再現することはできていなかった(Iida et al., 2004)。 
 私は学位論文の課題として内在性Tol2の転移に関する研究に従事していた。Tol2の挿入を変異原とするメダカアルビノ系統の兄妹交配を繰り返すことで遺伝的構成を変化させ、転移頻度の変動を体色の変化として検出することを試みた。その結果、Tol2 因子の転移によるアルビノ変異の高頻度の復帰突然変異(Iida et al., 2005)、および転移による高頻度の新規の挿入が、特定のサブ系統で実現した(Koga et al., 2006)。この現象は脊椎動物において、DNA 型トランスポゾンのトランスポジションバーストを検出した初めての例である。ここで加えた操作は兄妹交配のみであり、放射線や化学物質などの人工的な刺激は与えていない。このことから、自然環境下においてもトランスポジションバーストが起こり得ることが予想される。以上から、脊椎動物においても DNA 型トランスポゾンがホストのゲノム再編の原動力となっていることが、強く示唆された。

1) Koga A, Suzuki M, Inagaki H, Bessho Y, Hori H. (1996) Transposable element in fish. Nature 383:30.
2) Iida A, Inagaki H, Suzuki M, Wakamatsu Y, Hori H, Koga A. (2004) The tyrosinase gene of the ib albino mutant of the medaka fish carries a transposable element insertion in the promoter region. Pigment Cell Res. 17:158-164.
3) Iida A, Takamatsu N, Hori H, Wakamatsu Y, Shimada A, Shima A, Koga A. (2005) Reversion mutation of ib oculocutaneous albinism to wild-type pigmentation in medaka fish. Pigment Cell Res. 18:382-384.
4) Koga A, Iida A, Hori H, Shimada A, Shima A. (2006) Vertebrate DNA transposon as a natural mutator: the medaka fish Tol2 element contributes to genetic variation without recognizable traces. Mol Biol Evol. 23:1414-1419.
問合せ先 NASC
NAIST Science Communicators (nasc.naist@gmail.com)

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