NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

セミナー情報

減数分裂期mRNA分解-保存された分化抑制機構か?

演題 減数分裂期mRNA分解-保存された分化抑制機構か?
講演者 杉山 智康 博士(筑波大学大学院生命環境科学研究科、筑波大学若手大学人育成イニシアティブ、科学技術振興機構さきがけ研究員)
使用言語 日本語
日時 2011年6月1日(水曜日) 16:00~
場所 大セミナー室
内容
減数分裂は、受精に先立ち正しく染色体数を半減させると同時に、相同染色体間に高頻度の組換えを誘発して遺伝情報の交換・多様性をもたらす極めて重要なステップになっている。分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)における性分化、つまり減数分裂の開始および実行に必要な遺伝子群のmRNA(減数分裂期mRNA)は、通常の増殖状態では殆ど存在していない。以前は、このような低レベルの発現状態は転写を不活化することによりなされていると考えられていた。しかしながら、減数分裂期mRNAは増殖期にも転写されており、これらが積極的に分解されることで発現レベルが低く保たれていることが報告され、転写後調節による減数分裂の抑制機構の存在が明らかとなった。
我々は、細胞内局在を指標にしたスクリーニングにより新規因子Red1を同定し、Red1が減数分裂期mRNA分解に必須の因子であることを見出した。本セミナーでは、Red1の機能、減数分裂期mRNA分解におけるポリA鎖付加の重要性を他のグループの発見も含めて紹介するとともに、同様のmRNA分解機構が進化的に保存されている可能性についても議論したい。

問合せ先 発生ゲノミクス研究グループ
越智 陽城 (harukiochi@bs.naist.jp)

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