NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究成果の紹介

山中伸弥本学栄誉教授 ノーベル生理学・医学賞受賞に寄せて

山中先生、ノーベル生理学・医学賞受賞おめでとうございます。「体細胞をわずか4つの遺伝子で初期化できる」という話を、仮に10年前だったら世界の誰が信じたでしょうか。2007年1月に奈良県新公会堂で「バイオサイエンス研究科21世紀COE」のまとめとなる国際シンポジウムが開かれました。山中伸弥先生もゲストスピーカーの一人として参加され、数ヶ月前にCell誌に発表し、世界をあっと言わせたiPS細胞のその後の進展に関して未発表データも含めて話されました。この時に、iPS細胞からマウス個体も作製できたという話を聞き、私はこの瞬間に山中先生のノーベル賞受賞を確信しました。その後の懇親会で山中先生に「iPS細胞からマウス個体もできるんですか。信じられないくらいすごい話ですね」と尋ねたところ、「本当にすごいんですよ。」と興奮と驚きを込め答えられた言葉が今も耳に残っています。バイオサイエンス研究科では、創設以来、学生に対し複数指導教員によるアドバイザー制度を設けており、私は山中研のアドバイザーでもあったので、その研究の進展を幸いにもつぶさに見ることができました。1999年に赴任され、新しい研究テーマをかかげ、全くのゼロからのスタートにも関らず、およそ5年足らずの間にiPS細胞の基礎となる研究を成し遂げてしまったことは、本当に信じられないことです。またその研究を実際に進めた(現在も進めている)のが本学の学生や教員、技官であったことは、研究科及びセンターの誇りでもあり、本学創設の1つの成果を示したものとも言えます。ここに、今回の山中先生のノーベル生理学・医学賞受賞を研究科・センター構成員一同、心よりお喜び申し上げると共に、今後の研究のさらなる発展を心より期待しています。

2012年12月10日
バイオサイエンス研究科・遺伝子教育研究センターメンバーを代表して
河野憲二

(2012年12月10日掲載)

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