NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究成果の紹介

バイオサイエンス研究科遺伝子発現制御研究室の松井貴輝助教が公益財団法人持田記念医学薬学振興財団の持田記念研究助成の対象者に選ばれました

 遺伝子発現制御研究室の松井貴輝助教が公益財団法人持田記念医学薬学振興財団の持田記念研究助成対象者に選ばれました。本助成は、生命科学を中心とする医学、薬学及びこれに関連する物理学、化学、工学、生物学等の先見的独創的研究、かつ、これらの成果を総合して医療をはじめとするヘルスケアへの応用研究を助成し、わが国の医療及び国民の保健の向上に資することを目的とするものです。

助成受託のコメント

 この度、公益財団法人 持田記念医学薬学振興財団より、研究助成金を頂くことになり、大変感謝いたします。この助成金を有効に活用し、さらなる研究の発展を目指したいと思います。


助成受託研究テーマ

 器官形成と先天的疾患の発症の仕組み -個体差と疾病の境界線-

 生物の器官は、細胞が球状に集まったり、層状に重なったりして形づくられる。この立体構造が壊れると、その器官の機能が失われることから、器官の立体構造は発生プログラムによって厳密に制御されていると考えられる。これまでに私たちは、ゼブラフィッシュの左右非対称性を規定するクッペル胞と呼ばれる器官の形成メカニズムを解析し、クッペル胞の前駆細胞があらかじめ集まることが、正常なクッペル胞形成に必須であることを発見した。この研究を行なっているときに、クッペル胞形成はある範囲内の個体差を許容する仕組みを内包しており、その許容システムが破綻した場合には、繊毛病や逆位などの先天的疾患を発症する予備データを得た。そこで本研究では、ゼブラフィッシュのクッペル胞をモデルとして、器官形成における個体差と疾病の境界線を明らかにすることで、器官形成と先天的疾病の発症の仕組みの理解をめざす。

関連論文

Takaaki Matsui1, Siripong Thitamadee, Tomoko Murata, Hisaya Kakinuma, Takuji Nabetani, Yoshio Hirabayashi, Yoshikazu Hirate, Hitoshi Okamoto, and Yasumasa Bessho (2011) Canopy1, a positive feedback regulator of FGF signaling, controls progenitor cell clustering during Kupffer’s vesicle organogenesis (1Corresponding author) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 108: 9881-9886

(2011年10月14日掲載)

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