NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究成果の紹介

与語圭一郎助手が平成18年度日本骨代謝学会奨励賞を受賞

7月7日、細胞増殖学講座の与語圭一郎助手が、平成18年度日本骨代謝学会奨励賞を受賞しました。 本賞は、若手研究者による骨代謝関連分野の研究を奨励するため、日本国内で優れた研究を行った満40歳以下の会員に授与されるものです。

日本骨代謝学会のホームページ

受賞コメント

この度は、思いもかけず同賞を受賞することができ大変光栄に思っております。この賞は、本学において骨代謝研究を開始して以来、一貫して取り組んできた研究に対するものです。竹家達夫教授をはじめ、細胞増殖学講座のメンバーや共同研究者の方々など、研究をご指導・ご支援いただいた方々に深く感謝いたします。また、動物実験施設、RI実験施設など素晴らしい研究環境を提供いただいた本学関係各位にも深く御礼申し上げます。今回の受賞を励みに、さらなる意欲を持って研究活動に邁進し、独創性あふれる発見に向け努力を重ねていきたいと思っております。

受賞内容

「c-Srcはイノシトールリン脂質脱リン酸化酵素の機能を制御し骨吸収を負にも調節する」

骨基質を分解・吸収する「破骨細胞」は、骨を造る「骨芽細胞」と並び骨代謝において主役となる細胞のひとつである。この破骨細胞による骨吸収には、原がん遺伝子c-Srcが必須であることが明らかとなっていた。我々は、このSrcの機能を研究していたところ、骨基質の吸収を負に制御するイノシトール脂質脱リン酸化酵素(SHIP)と結合することを見出した。そして、これらタンパク質の機能的関連を探ると、興味深いことに骨吸収に必須であるSrcが、負の調節因子であるSHIPの細胞内局在や他のタンパク質(p130Casやc-Cblなど)との相互作用などを制御することにより、骨吸収を部分的に負に調節していることが明らかになった。すなわち、Srcは骨吸収へのアクセルを踏む一方で、SHIPというブレーキ役を利用し、骨吸収のバランスを適度に調節していることを示している。


図A 本研究により明らかとなった、破骨細胞におけるSrcによるSHIP機能制御のモデル図
図B 破骨細胞におけるSHIPの細胞内局在。通常の破骨細胞においては、SHIPはポドソームと呼ばれるアクチンおよびその調節因子が集合してできる構造体に集積しているが、Srcのキナーゼ活性を低下させる働きを持つCskを遺伝子導入するとSHIPの局在が変化する

関連する論文
  1. Yogo K, Mizutamari M, Mishima K, Takenouchi H, Ishida-Kitagawa N, Sasaki T, Takeya T.
    Src Homology 2 (SH2)-Containing 5'-Inositol Phosphatase Localizes to Podosomes, and the SH2 Domain Is Implicated in the Attenuation of Bone Resorption in Osteoclasts.
    Endocrinology. 2006 Jul;147(7):3307-17.
  2. Koga S, Yogo K, Yoshikawa K, Samori H, Goto M, Uchida T, Ishida N, Takeya T.
    Physical and functional association of c-Src and adhesion and degranulation promoting adaptor protein (ADAP) in osteoclastogenesis in vitro.
    J Biol Chem. 2005 Sep 9;280(36):31564-71.

(2006年07月18日掲載)

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