機能ゲノム医学研究室(石田研究室)
Functional Genomics and Medicine

研究内容 Research

分泌型HtrAファミリーの機能解明 〜遺伝子から病態解明へ〜(岡助教)

私達は、マウスやヒトが持つHtrA1(High temperature requirement A 1)という遺伝子を解析しています。HtrA1は細胞外に分泌されて働くセリンプロテアーゼです。HtrA1の名前はバクテリアの相同遺伝子が持つ機能に由来しています。バクテリアのHtrAはバクテリアが高温化で生存するために必須の遺伝子で、高温によって異常になった蛋白質の構造を修正(Refolding)したり分解する機能を持つHeat shock proteinをコードしています。

ヒトのHtrA1は様々な疾患と関連していることが示されています。変形性関節炎やリウマチ性関節炎の患者さんの関節軟骨や関節液の中では関節炎に伴ってHtrA1の発現が増加します。HtrA1は関節軟骨の構成成分であるプロテオグリカン等を分解する活性を持つことから関節炎の悪化因子ではないかと考えられています。また、加齢黄斑変性は加齢に伴って起こるヒトの網膜の変性疾患で先進国では高齢者の失明原因として重要ですが、発症にはHtrA1遺伝子の一塩基多型(SNP)が強くリンクしていることがわかっています。加齢黄斑変性に関連するHtrA1遺伝子のSNPはプロモーター領域にあり、HtrA1の発現を上昇させると考えられています。さらに、HtrA1遺伝子の変異によりCARASILと呼ばれる遺伝性の脳梗塞になることがわかってきました。その他、妊娠性高血圧症やがんに関わることも示めされています。

以上のようにHtrA1の発現の異常は様々な病気に関わりますが、そのメカニズムに関してはほとんどわかっていません。私たちはHtrA1ノックアウトマウスをツールとして用いながら、HtrA1遺伝子が関連する病気の病態を分子レベルで説明することを目指して研究を行っています。

論文リスト

  • Hasan, M.Z., Ikawati, M., Tocharus, J., Kawaichi, M., and Oka, C.
    Abnormal development of placenta in HtrA1-deficient mice.
    Dev.Biol. 397, 89-102, 2015.
  • Supanji, Shimomachi, M., Hasan, M.Z., Kawaichi, M., and Oka, C.
    HtrA1 is induced by oxidative stress and enhances cell senescence through p38 MAPK pathway.
    Exp.Eye Res. 112, 79-92, 2013.
  • Tsuchiya, A., Yano, M., Tocharus, J., Kojima, H., Fukumoto, M., Kawaichi, M., and Oka, C.
    Expression of mouse HtrA1 serine protease in normal bone and cartilage and its upregulation in joint cartilage damaged by experimental arthritis.
    Bone. 37, 323-336, 2005.
  • Tocharus, J., Tsuchiya, A., Kajikawa, M., Ueta, Y., Oka, C., and Kawaichi, M.
    Developmentally regulated expression of mouse HtrA3 and its role as an inhibitor of TGF-beta signaling.
    Dev.Growth Differ. 46, 257-274, 2004.
  • Oka, C., Tsujimoto, R., Kajikawa, M., Koshiba-Takeuchi, K., Ina, J., Yano, M., Tsuchiya, A., Ueta, Y., Soma, A., Kanda, H., Matsumoto, M., and Kawaichi, M.
    HtrA1 serine protease inhibits signaling mediated by Tgfbeta family proteins.
    Development. 131, 1041-1053, 2004.
  • Oka, C., Nakano, T., Wakeham, A., de la Pompa, J.L., Mori, C., Sakai, T., Okazaki, S., Kawaichi, M., Shiota, K., Mak, T.W., Honjo, T.
    Disruption of the Mouse RBP-J Kappa Gene Results in Early Embryonic Death. Development 121, 1995

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