NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究室・教員

卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -

弘内 珠代 さん

  • サノフィ・アベンティス株式会社 オンコロジー営業統括部
  • 2003年度(修士) 細胞増殖学
弘内 珠代さんの近況写真

  私は現在、フランスに本社をおく製薬企業サノフィ・アベンティス(株)でMRとして勤務しております。
  MR(医薬情報担当者)とは、医師・薬剤師・看護師など医療従事者の方々へ自社が扱う医療用医薬品に関する適正使用情報を提供する仕事です。医療用医薬品は、薬局で誰でも購入できる一般用医薬品と異なり、効果が高い一方で副作用も強くなります。私はその中でも抗がん剤担当で、患者さまの生死に直結する仕事だと考えています。先生方と患者さまの治療方法について話し合うこともあり、そのため自社の抗がん剤に関する知識はもちろん、がん治療に関する様々な最新情報を身につける必要があります。
  営業職であるMRを選択したことには色々と理由がありますが、1番は医療関係に携わりたい、現場を見たいと強く思ったことです。今の仕事では、先生方から自社製品をお使い頂いた患者さまの元気なご様子を伺うことが楽しみの1つです。医療業界も日々進歩しており、抗がん剤も細胞増殖抑制を作用機序に有する薬剤だけでなく、分子標的薬剤の開発が進み実際に医療現場で多くの患者さまがお使いになられています。そういった薬剤を理解する上では奈良先端大での経験が大いに役立っています。

  ではここで、奈良先端大入学前に振り返ってみたいと思います。私は大学で食物栄養学科に在籍しており、バイオサイエンスはかじったとも言えない程度の知識しかありませんでした。入試も1度不合格通知を受け取り、2度目で合格。入学後の3度の試験も24時間オープンの図書館にこもり、なんとかクリアするような状況でした。そんな他分野出身でバイオサイエンス初心者の私を暖かく受け入れてくれたのが細胞増殖学講座の竹家先生です。私は破骨細胞の分化過程で引き起こされる制御機構に関する研究を行いました。1つの疑問に対してあらゆる方面から物事を捉え、どういう手法をとれば疑問が解決されるのか、解決の糸口はどこにあるのかなどを考えながら研究に没頭する日々は、厳しいながらも非常に充実し忘れられない2年間です。

  他分野の学生の方で、果たして自分に出来るのかと悩みながら奈良先端大を希望している方もいらっしゃると思います。とにかく前を向いて、自分がやりたいと願うことに真剣に取り組んで下さい。レベルの高さに驚くことも多々ありましたが、最先端の素晴らしい環境で過ごせる研究生活は学ぶべきことが有り余るほどです。一人でも多くの方の新たな道が切り開くことを願っております。

【2007年04月掲載】

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