NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究室・教員

卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -

市原 寿子 さん

  • 京都大学化学研究所バイオインフォマティクスセンター人材養成ユニット 特任助手
  • 1999年度(修士) 生体高分子構造学
市原 寿子さんの近況写真

皆さん、こんにちは。私は1998年から2年間、バイオサイエンス研究科の修士課程で学んだ後、当時、大阪の吹田市にありました生物分子工学研究所(BERI)に勤務致しました。その後、上司の京都大学への異動に伴って一緒に異動させて頂くことになり、現在に至ります。

大学院ではバイオサイエンス研究科・分子生物学専攻の生体高分子構造学講座に所属し、箱嶋敏雄教授のご指導の元、転写因子と抗転写因子の結合実験、結晶化、構造生物学的手法による分子認識の解析に取り組みました。学生時代はウェットの実験を中心に行っていたわけですが、卒業後は、完全なドライラボでの研究となりました。卒業してから現在までの主な研究テーマは、コンピュータを使ってアミノ酸配列や立体構造のデータからタンパク質の進化情報を抽出し、その情報を元に機能や立体構造を予測する、というものです。生命情報学とよばれる分野に属する研究であり、それまでに学んだものとは全く異なる解析方法を用いることになるため、最初は不安で一杯でした。しかし、確かに新しい手法に戸惑うこともありましたが、問題の設定の仕方や考え方は学生時代に学んだとおりのものであり、杞憂に終わりました。むしろ、実験経験が解析対象への深い理解に繋がることもあることから、現在の仕事に非常に役立っていると思います。

また在学時、入学後から講座配属までの期間に、分子生物学の基礎について幅広い講義を受ける事が出来たのも本当に良かったと思います。講義を担当されているのは最先端の研究に携わっておられる先生方であり、基礎的な事に加えて最新情報を織り交ぜながらお話しをして下さいました。現在、私は様々な生命現象に関わる多様な分子を解析対象としており、本格的な解析に入る前段階で調査を行いますが、あの講義でのお話によって、研究経験の浅い私でも調査が効率的に行えるのだと思います。また、講義を通して研究室の枠を超えた友人とも知り合うことが出来ました。そうした友人を介して、やはり自分の知らない研究に触れることができ、視野を広げることが出来たのではないかと思います。

最後になりましたが、現職に着いてはじめて、指導する側の難しさを知りました。学生時代の自分を省みた時、先生方、先輩方が非常に寛大な態度で接して下さっていたことが身にしみます。この場をお借りして、お世話になりました方々に心よりの感謝を申し上げます。

【2007年02月掲載】

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