NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究室・教員

卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -

何小萍(Xiaoping HE) さん

  • 平木国際特許事務所
  • 2000年度(博士) 細胞構造学

日本と中国の架け橋になれるように頑張っています。

何小萍(Xiaoping HE)さんの近況写真

十数年前に中国から奈良先端科学技術大学院大学に来た時のことはまだ鮮明に覚えています。初めての外国生活の体験でしたので、非常に緊張していましたが、所属する細胞構造学の塩坂教授を初めとする研究室の皆様の優しさによって、緊張感が段々溶けていったことを思い出します。空港まで迎えに来て頂いて、名前が載った印鑑もプレセントしていただきました。また、当時の先輩研究室員(現在の駒井章治准教授ら)によって、神戸の南京町中華街に連れて行って頂き、中国語を話せる留学生先輩を紹介して頂いたことも忘れることができません。いまも奈良県は日本での私の故郷のように感じています。

生活が落ち着いた後に、私は優れた研究環境の中で科学研究の世界に歩き出しました。私は中国で修士課程を修了しましだが、中国と日本との研究条件の違い、また研究分野が若干変わったこともあって、最初の頃は大変焦ったことを覚えています。当時の私の指導教員であった吉田成孝准教授(現旭川医科大学教授)や研究室の先輩達からは、多くの研究方法や研究機器の使い方を一つ一つ丁寧に教えていただきました。また、毎週のセミナー・勉強会などでも、当分野の進歩の状況、研究の発想の仕方など、本格的に科学研究の世界に導いて頂きました。いつのまにか私もすっかり細胞構造学の一人となりました。研究室に入ってから二年くらい後に、私自身にも研究成果が出たため、研究室経費でアメリカでの学会発表にも行かせて頂きました。それをきっかけにしてアメリカの教授と出会い、修了後にポストドクターに採用され、博士課程の修了後からアメリカで勤めることができました。私の人生において奈良先端科学技術大学院大学で過した時期は非常に大切な時期だと思います。

現在、私は東京の国際特許事務所で特許の出願などの仕事をしております。奈良先端大で培われた科学的なセンス、プレゼンテーション能力及び科学文書の作成能力は、日々、大いに役立っています。また、中国経済の急速的な発展によって、日中両国間の技術的な交流が益々多くなってきていますので、中国出身の私にとってとてもやり甲斐がある仕事と感じています。2007年にバイオ化学を専門とする中国弁理士の資格も取りました。中国語には“飲水思泉”の言葉がありますが、塩坂先生を初めとする優しくして頂いた塩坂研の皆様がいなければ、現在の私がないと思います。社会に貢献していることで、自分を育てて下さった先生への恩返しであると思っています。現在、バイオ化学研究者の背景や、中国出身であること、また中国語、日本語、英語の語学力を活かして、日本と中国との技術的な交流の架け橋になれるように頑張っています。

写真の説明: 私と私の娘です。

【2011年04月掲載】

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