成果報告

論文No.070

環境ストレスに対する植物の成長戦略

バートライマン、杉本慶子
Curr. Opin. Plant Biol. 15, 683-690 (2012)

Rymen, B. and Sugimoto, K. Tuning growth to the environmental demands. Curr. Opin. Plant Biol. 15: 683-690 (2012)

 植物は劣悪な環境にさらされると細胞の増殖と分化のバランスを変化させることによって成長パターンを変化させる。これはストレス条件下で植物が成長出来なくなってしまうという受動的な反応ではなく、環境情報を能動的に発生情報に組み込むことによっておかれた環境下で最適な成長を実現するという植物のしたたかな成長戦略の一環といえる。近年の研究から環境情報と発生情報がどのように統合され、成長制御につながるのかが解明されつつある。この総説では様々な環境ストレスが細胞の増殖、分化をどう変化させるのかを概観した後、これまでに分かってきたそれを支える分子メカニズムについて解説した。