成果報告

論文No.063

オオムギのケイ素分配に必要なトランスポーターHvLsi6

山地直樹、千葉由佳子、三谷奈見季、馬 建鋒
Plant Physiol. 160, 1491-1497 (2012)

Yamaji, N., Chiba, Y., Mitani-Ueno, N. and Ma, J. F. (2012) Functional Characterization of a Silicon Transporter Gene Implicated in Silicon Distribution in Barley. Plant Physiol. 160: 1491-1497

 ケイ素は地上部に集積することで、植物の複合ストレスを軽減できる。我々はオオムギからケイ酸の吸収に関わるトランスポーターHvLsi1とHvLsi2を同定しているが、今回は地上部への分配に関わる輸送体HvLsi6を同定した。HvLsi6は葉身や葉鞘の木部柔細胞で極性分布し、導管からのケイ酸の積み下ろし(xylem unloading)の役割をしていると考えられる。また生殖成長期では、節の木部転送細胞に極性分布し、肥大維管束から分散維管束への維管束間輸送に関わっていると思われる。さらに、HvLsi2も転送細胞に隣接する柔細胞に局在することが明らかとなり、HvLsi6がunloadingしたケイ酸を分散維管束へ再度loading機能している。HvLsi6とHvLsi2の共同作業によってケイ酸の維管束間輸送が行われることが明らかとなった。

Fig. 1

図1 節におけるHvLsi6とHvLsi2の局在。
A-B, HvLsi6; C, HvLsi2、D, HvLsi6(黄色)とHvLsi2(赤)。DV, 分散維管束; *,木部転送細胞;pc, 木部転送細胞に隣接する柔細胞; v,導管; XE and PE, 肥大維管束の木部と篩部